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Sportlandiaより「羽生結弦とSEIMEIについて」

本屋を経営するライター/編集者のマルティーナ・フランマルティーノさんのブログより。

SEIMEIについて語っている記事がとても素敵だったのでご紹介させて頂きます。

非常に長いので後半のSEIMEIの部分だけを訳します(前半は伊藤みどりさんの時代からフィギュアスケートを見ているというマルティーナさんのスケート略歴)

 

原文>>

 

2019年4月5日

マルティーナ・フランマルティーノ著

2015年11月NHK杯

ショートプログラムで羽生は美し過ぎるプログラム、ショパンのバラード第1番で世界最高得点を獲得しました。

私はこのプログラムを愛しました。偏見でもない限り、『完璧』を愛さずにいることは不可能です。

この時、現オリンピックチャンピオン(ただし全シーズン世界選手権は銀メダルでした)の羽生はこの競技の頂点でした。

彼はショートプログラムでは既に世界最高得点を4度も更新していましたから、彼にとって並外れたプログラムを披露することは珍しいことではありませんでしたし、おそらく既に最強でしたが、この少し前にもミスをして負けたがありましたから、圧倒的に最強という印象ではありませんでした。

今後も負けることはあるかもしれませんが、如何なる敗北も羽生が彼の人生の中でフィギュアスケートのリンクで成し遂げたあらゆる偉業を変えることは絶対に出来ません。

 

彼もいつかは現役を引退するでしょう(私は身体的限界などの理由ではなく、彼が幸せで、達成感に包まれながら引退出来ることを願っています)。

でもSEIMEIはフィギュアスケートです。

このプログラムによって私は誰かをカート・ブラウニングより愛することが可能なことに気づきました。

この4分半で羽生結弦は私を完全に虜にしました。

カナダのスケーターに対する私の愛が減少したわけではありません。

ただ単に私は自分の中により強い情熱を見出したのです。こんなことが起こり得るとは、これまで考えたこともありませんでした。

私は色々なスポーツを観戦します。

勿論、イタリアの選手を応援することが多いですが、外国人の選手を応援することも頻繁にありました。

重要なのは、彼らに出来ること、その能力です。

フィギュアスケートに関しては、彼らが何を伝達することが出来るのか、と言うこと。

パスポートに記載された国籍は関係ありません。

スポーツは民族の架け橋になることが出来るのです。

 

数週間前から私は初めて日本文化に関する本を読み始めました。

何故なら私の国から遥か遠く離れた世界からやってきた選手が、私の心の中に乱入してきて、それまで全く知らなかった文化に歩み寄りたいという願望を駆り立てたからです。

SEIMEIは日本人以外には意味がないですか?

いいえ、SEIMEIの意味が分からないのは偏見のある人だけです。

そして羽生結弦は途方もない偉業を達成しました。

それは彼がある意味で不完全だったプログラムでオリンピックで勝ったからではなく、彼が未だに根強く残っているフィギュアスケートに対する偏見と闘い、他の選手なら誰でも屈するような酷い大怪我から復活し、まだ怪我から完治していない状態で金メダルを勝ち取ったからです。

イギリス人の解説者の解説を聞けば、彼もどれほどこのプログラムに引き込まれていたかすぐに分かります。カナダの解説者・・・あのカート・ブラウニングです。彼の解説、あるいはNBCの解説者のコメントを聞いてみてください。

映画「陰陽師」を観ることが出来ないのは残念です。

私はこの映画に凄く興味がありますが、イタリア語版は存在しないのです。

梅林茂の音楽は素晴らしく、全ての強拍が選手が実施する動作によって完璧に強調されていました。

シェイリーン・ボーンの振付です。

私は彼女がアイスダンスの選手だった頃、パートナーだったヴィクター・クラーツと共に大好きでしたが、現役時代はその才能に相応しい結果が得られませんでした。

最後のコレオシークエンスは見る度に鳥肌が立ちますし、このプログラムをもう何度見返したか、もはや数えきれません。

 

 

オリンピックでの羽生は完璧ではありませんでした。

彼はより高難度のジャンプ、より多種類のより多くの4回転ジャンプを披露したいと考えていましたが、怪我によって阻まれました。

しかしながら、それでも彼は4本の4回転ジャンプを入れたプログラムを披露したのです。

2本目の4トゥループがステップアウトになり、コンビネーションに出来ませんでしたから、基礎点が下がりますが、咄嗟に3アクセルを三連続にしてリカバリーし、GOE2.14を稼ぐという超人技を見せました。

 

別の大会で彼はホープ&レガシーによって世界最高得点を獲得します。

この時、彼の体調は万全で(これは珍しいことです)、技術的に自身のキャリアで最高、そして芸術的にも彼の強力なライバル達を超越するプログラムを滑りました。

羽生結弦が史上最高のスケーターであることを明確に証明する多くのエピソードの一つです。

でも、例え最高記録はホープ&レガシーに属していても、そして、最近の世界選手権で幾つかの馬鹿げた得点を見かけましたが、

SEIMEIはフィギュアスケートです。

器の小さな人間が何を思おうと関係ありません。

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☆先日放送されたNHK杯特集で久々に2015年NHK杯のSEIMEIを見ました。

当時、私はマッシミリアーノさん達の実況でライブで見ていましたが、全てのジャンプがあまりにも完璧過ぎて、爆上昇していくTESカウンターが非現実的過ぎて身体が震えました・・・3ルッツの時点で105点!

 

リンクを出るときに「ありがとうー!」と叫んでいる羽生君を見て、解説のアンジェロさんが「結弦がアリガトウと言っている。いや、僕達の方こそ君にありがとうと言わなければならない」と言っていたのが印象的でした。

 

伊ユロスポ版2015年NHK杯「SEIMEI」解説翻訳+動画

 

まさに歴史を変えたプログラム。

何度見てもゾクゾクします。

そして来季のプログラムは何になるのか期待が膨らみます!

 

☆イタリアの近況を少し

イタリアでは4月26日にコロナに関する新たな首相令が発令されました(5月4日から実施)

PDFファイルの原文は70ページもありますので全部読んでいませんが、メディアが分かりやすくまとめたくれた記事によると概ね以下のような内容です:

  • 健康上、または証明可能な業務上の必要性がない州間の移動は引き続き禁止。
  • 公園の封鎖は解除され、対人距離1メートルを確保すれば利用出来る
  • 野外における個人スポーツは許可される(ただしチームスポーツやグループでのスポーツは禁止)
  • 食品及び日常必需品、ベビー用品、文房具以外の店舗、及び飲食店は引き続き営業禁止(5月11日に衣類やバッグなどの店舗も営業再開が許可される予定)
  • 製造業,建設業,卸売業等は活動再開が許可される
  • 交通機関内など対人距離1メートルの確保が困難な場所におけるマスク着用の義務化

 

原文ではまだまだいっぱいありますが、新聞などで紹介されている市民の生活に直接関係のある条項は上記の通りです。

また、今までは自宅周辺の散歩のみが許可されていましたが、家から離れた場所でのジョギングも許可されました。

これは個人的に非常にありがたいです。

ウチは私も夫も自宅兼職場にしており、各自に仕事部屋があり、共にかなりインドア派なのでロックダウン後も普段の生活にさほど変化はなく、厳しい外出制限も正直あまり苦になっていませんが、2月末からスポーツジムが封鎖されてしまいましたので、身体が相当なまってきていました(ストレッチや筋トレはともかく、自宅で出来る有酸素運動には限界があります)。

5月は1年で最も爽やかで過ごしやすい季節ですし、ロックダウン効果で街の空気も澄んでいますので、来週から屋外でジョギングが出来るのは嬉しいです。

まあ、そんなことはともかく、PDFの首相令原文にもザっと目を通したところ、興味深い条項を見つけました。

 

オリンピック出場、または国内及び国際大会への出場を見据え、伊オリンピック委員会、伊パラオリンピック委員会、及び各競技の当該連盟から国益であると認められたプロ及びアマチュアスポーツの選手には、個人競技に限り、集団にならず、対人距離に関する規定を準拠する条件で、非公開の練習セッションが許可される。

ということはマッテオとグラッスル君も練習を再開出来るのかな?

現在、グランド、スケートリンク、プールなどの施設は完全に封鎖されていますので、これらの施設を許可を受けた代表選手達だけは利用出来るよう貸し切りで営業するのか、その辺りは不明ですが(もしかしたら70ページある首相令のどこかで言及されているのかもしれませんが、さすがに探す気になれない😅・・・)、コロナ感染者数が世界ワースト3のイタリアで、代表選手のトレーニング再開が許可されたことはかなりポジティブなニュースだと思います。

 

 

Published by Nymphea

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち