本屋を経営するライター/編集者のマルティーナ・フランマルティーノさんのブログから
ISUアワードに関する彼女の考察と分析が非常に興味深かったのでご紹介します
マルティーナ・フランマルティーノ著(2020年7月4日)
ISUスケーティングアワードを重視している人が誰かいるのでしょうか?
真面目な話、金儲けが大好きなオーガナイザー以外でこのイベントに興味がある人がいると思いますか?
ISUスケーティングアワードは誕生から既に間違っていましたが、経過と共に悪化の一途を辿っています。
このイベントがフィギュアスケートの追加イベントとしてではなく、世界選手権のエキシビションの代わりに行われると発表されたのは、チケットが発売されたずっと後のことでした。
これが最初の過ちでした。
もし私がスペクタクルを見るためにチケットを買ったなら、私は断固「この」スペクタクルを見たいです。
勿論、思い通りに行かないこともあります。
つまり自分が見たいと思っていたスケーターが怪我をしたり、出場しなかったり、あるいは全ての選手がミスを連発してスペクタクル自体が期待を下回るクオリティだったり・・・
競技時間が決まっているフィギュアスケートでは起こり得ないことですが、1988年の全仏オープン決勝で僅か34分でナターシャ・ズベレワにストレート勝ち(6-0, 6-0)したシュテフィ・グラフが試合の後、観客に謝罪したことがありました。理由は非常に短時間のスペクタクルしか提供出来なかったからです。
しかしながら、不慮の事態でそうなってしまうのと、オーガナイザーが入金を済ませた後で、テーブルに並べたカードを変更するのとでは訳が違います。
いいえ、結構です。
私は人生で1度もレッドカーペットを見たことがありませんし、今更見ようという気もありません。
私にとって、フィギュアスケートとは試合と試合後のエキシビションのことです。
エキシビションで私はこれまで数々の美しいプログラムを見てきました。
私のフィギュアスケート観戦歴初期において記憶に残っているエキシプロはペトル・バルナの「チャーリー・チャップリン」です。 私はエキシビションでバルナのファンになり、その後、試合でも彼を評価するようになったのです。
ヨーロッパ男子の中では私は彼を応援していました。
でも、もしエキシで彼を見なかったら、彼を応援していたでしょうか?
楽しい、またはその他の理由で記憶に残るエキシプロを私は他にも多く見てきました。
投票システムについては唖然とさせられましたが、ここで掘り下げる気にはなれません。
投票開始から膨大な時間が経過した後で、他の候補者を追加するなど全く馬鹿げています。
他の候補者よりずっと後になって新たな候補者が追加されるような投票を公正と見なすことが出来ますか?
それにどのカテゴリーでもペアの選手が一人もノミネートされていないのも妙な話です。
そして選出された数人のスケーター達が披露する「本物の」エキシビションには余った僅かなスペースしか与えられず、リンクのほぼ3分2はアワード用パークに占拠されることについても長々と議論しなければなりません(会場の公式見取図を見つけたかったのですが、探す時間がありませんでした)。
高額なチケットを購入した観客の大部分が、この「パーク」に視界を遮られ、スケーター達のエキシの演技が見えないところでした。
しかし、チケットを購入する人は、然るべきスペクタクルを実際に見る権利がありますよね?
彼らはそのためにお金を払っているのですから。
極めつけは今日、「最も価値のあるスケーター」賞の最終候補に対するISUの紹介ページで起こりました。
アワードの公式な定義は「ファン層への影響、メディアの注目度、スポンサーの評価によってフィギュアスケートの人気レベルの向上に最も貢献したシングルスケーター、ペア、またはアイスダンスペア」となっています。
OK、それでは最終候補者達の紹介文を見ていきましょう。
ISUオフィシャルサイトの該当ページをスクリーンショットしました。
サイトの紹介文下の動画をクリックすると選手達のパフォーマンスを見ることが出来ます。
選手はアルファベット順に紹介されています
ネイサン・チェン
ガブリエラ・パパダキス/ギヨーム・シゼロン
羽生結弦
今までフィギュアスケート界で露骨なストリーテリングが行われていると疑ったことはありませんでしたが、今は確信しています。
これまでは非常にいい加減に運用された投票の問題とプロパガンダを行うアメリカメディアの問題だけでした。
しかしながら、中立の立場でスポーツ全体を促進すべきISUがプロパガンダを始めたら・・・私達は本気で心配しなければなりません。
パパダキス/シゼロンの紹介文は問題ありません。
私が愛するペアで、彼らの実際の戦歴が紹介文に記載されています。彼らが200点を超えた背景にはルール改正の恩恵もありますが、他の選手達も同じ条件でしたし、選考対象を過去の選手ではなく、近年活躍している選手達に限定している訳ですから問題ないでしょう。
他の紹介文を見ていきましょう。
チェンが同じプログラムでクワド4本を成功させた史上初の選手という主張に注目しなければなりません。
確かにチェンは2016年全米選手権でクワド4本を実施しました。
しかし、何時から国内選手権が国際公認大会と同格と見なされるようになったのでしょう?
彼がステップアウトした4サルコウでGOEマイナス評価を受けた2015年グランプリファイナルを除外すると、最初に4クワドを成功させたのは2016年四大陸選手権のジン・ボーヤンです。
私は細か過ぎるでしょうか?
一方、5クワドを最初に成功させたのは間違いなくチェンでした。
そしてISUはチェンがこれまでに5種類の4回転ジャンプを成功させた唯一のスケーターだと書くのを忘れたようですね。
ループはB級大会で1度だけですが、成功には変わりないですから、認識すべきでしょう。
しかし大問題なのは次です。
チェンは平昌オリンピックの団体戦で銅メダルを獲得しました。
事実です。
しかし、そうなると金メダルだったカナダ、銀メダルだったロシア(ドーピング問題で国としての参加が認められずOARとして出場)、銅メダルだったアメリカ以外で、4カテゴリー全てで競争力のあった国が何ヵ国あったのか、調べたくなります。
団体戦の順位を見てみましょう。
イタリアについて言えば、マッテオ・リッツォが大健闘しました。
彼はまさにオリンピックシーズンから飛躍的に成長し、イタリア史上最強の男子スケーターになりました(これまでイタリアの男子は僅かの例外を除き競争力がありませんでした)。
マルケイ/ホタレックも平昌で大躍進しました。3位との点差が大きかったといえ、4位は素晴らしい結果です。
日本はシングルは最強で、戦力のあるペアを見つけようと必死ですが、このカテゴリーではまだ大きく遅れを取っています。
表彰台に乗った3ヵ国の団体戦スケーター達がメダルを獲得しないのは困難でした。
この3カ国のメダルは当然の結果で(評価が偽造されたとは言いませんが、私達はトップ3がどの国か事前に分かっていました)、試合ではメダルの色を決めるだけでした。
チェンはショートプログラムだけに出場しました。
そしてチームのメダルにどれほど貢献したでしょうか?
表の最初の列は当然、カテゴリーとプログラム(ショート/フリー)を示しています。
2列目は選手名、3列目がその選手の試合における順位、4列目がアメリカの選手達がそれぞれの演技で獲得したポイント。
残りの4列は試合に出場した他国の選手達が各試合で獲得したポイントです。
赤字はアメリカ選手より低かったポイントです。
これを見るとネイサン・チェンは銅メダルに大して貢献していなかったことが分かります。
彼より悪かったのはブライディ・テネルだけですが、テネルはエフゲニア・メドヴェデワ(個人戦の銀メダリストで2度の世界女王)、カロリーナ・コストナー(2012年世界女王で前オリンピック銅メダリスト、今シーズンは常に素晴らしいショートを披露していました)、ケイトリン・オズモンド(個人戦の銅メダリスト)、宮原知子(この数か月後に2つめとなるワールドメダルを獲得)のような強力な選手達と対戦しなければなりませんでした。
一方、チェンは宇野昌磨とパトリック・チャンと対戦し、彼らの順位を下回っただけでなく、国際大会で1度も4位以上になったことがないアレクセイ・ビシェンコ選手にさえ抜かれました。
直接のライバルの中で彼が上回ることが出来たのは、全てのジャンプ要素をことごとく失敗した(冒頭の4ルッツで転倒、コンビネーションの4トゥループで再び転倒しセカンドジャンプを付けられず、アクセルはシングルでノーカウント)ミハイル・コリヤダとマッテオ・リッツォ(成長中でしたが今ほど強くありませんでした)だけでした。
確かにチェンは団体戦銅メダルを獲得しましたが、それはチームメイトのおかげです。
チームが彼だけならメダルを逃していたでしょう。
分かりました。これ以上重箱の隅をつつくのは止めましょう。
どのような展開だったにしろ、メダルはメダルなのですから。
2度の世界チャンピオン
事実ですし、2度の勝利がどのようにしてもたらされたのかは詳しく書きません。
グランプリファイナル優勝者(回数は明記されていません)、四大陸選手権優勝者、4度の全米選手権チャンピオン。
そして「チェンは高度な学問とスケートを両立する模範となっている」の一文。
イェール大学はISUランキングのポイントに加算されるのでしょうか?
そんなことはない?本当にそうでしょうか?
疑念が湧いてきます・・・
アメリカのメディアが仰々しくプロパガンダを行うのは勝手です。
正直不愉快ですが、メディアというのは大衆の注意を引きたがるものですし、彼らの多くが大衆を煽ったり、彼らの意見に影響を与えたりすることなく、真実を書くべきだということを忘れてしまっているのです。
例えば今年のユニバーシアードの出場者リストを見ると、大陸レベルで少なくとも1度メダルを獲得したことのある選手の名前しか記載されていません:
マッテオ・リッツォ、マキシム・コフトゥン、モリス・クヴィテラシヴィリ、アレクサンドル・サマリン、三原舞依、エリザベート・トゥルシンバエワ。
しかし、前大会の出場者リストを見ると、デニス・テン、ミハル・ブレジナ、エレーナ・ラジオノワ、エリザベータ・トゥクタミシェワ、アレーナ・レオノワ、そして大学に通っている全ての出場選手の名前が記述されています。
ヴィンセント・ジョウ、ジェイソン・ブラウン、宇野昌磨、ジン・ボーヤン
ミハイル・コリヤダ(彼は既に学生ではなく卒業生です)、ナム・ニューエン、坂本花織、エフゲニア・メドヴェデワ、宮原知子・・・
まだまだ続いていきますが、長くなり過ぎますので去年の世界選手権の2カテゴリー(男子と女子)のランキング上位選手しか確認しませんでした。
女子選手の方が少ないのは、平均年齢が低く、多くの選手がまだ高校生で大学生になっていないからです。
そして早稲田大学に在学する羽生結弦がいます。
しかし、日本で最も威信ある名門大学の一つである早稲田でさえ、イェール大学に比べると取るに足らない大学なのですか?
チェンについて語る時はことあるごとにイェール大学を持ち出し、大学に通う他の選手達の時には全く触れないというのは、他の全ての選手に対して失礼ではありませんか?
確かに紹介文については男子選手2人とアイスダンス1組だけですが、実況を聴いていても、記事を読んでいても、これほど何度も言及されている大学は1つしかありません。
紹介文は次の一文で締めくくられています:
「彼はアメリカと世界の男子スケートの普及に貢献しています」
私は些細なことまで調べなければ気が済まないタイプなので、早速Google Trendsで調べてみました:
羽生とチェンの折れ線グラフがぶつかるのは(実際には羽生29、チェン28)、10月20日から26日にかけての週です。
この週がどのような週だったのか説明すると、10月18日から20日にかけてチェンがスケートアメリカで優勝し、彼に対する関心度が羽生に対する関心度に迫りました。10月25日から27日にかけて、羽生はスケートカナダで優勝し、この優勝後、彼に対する検索数が跳ね上がっています。
ピーク(羽生100、チェン45)は両者が出場したグランプリファイナルの翌週(12月8-14日)です。
チェンが羽生を上回った唯一の瞬間(75対37)は全米選手権直後の1月26日から2月1日にかけての1週間でした。
羽生に関心があるのは日本人だけ、あるいはアジア人だけですか?
そうではありません。
このデータにはGoogle検索をほとんど使わない中国人は含まれていません。
それではこれらの検索が何処で行われたのか詳しく見ていきましょう。
このスクリーンショットを撮るために、私は関心事としてチェンを設定し、彼がどこで最も検索されているのか調べました。
チェンは次の国でより検索されているようです:
ジャマイカ (100%)、カザフスタン(チェン64%、羽生36%)
アメリカ(チェン50%、羽生50%、彼の母国です!)、ブルガリア(羽生60%、チェン40%、つまりチェンの検索数が4番目に多い国でも、羽生の方が多く検索されているのです)、ロシア(羽生61%、チェン39%)。
一方、羽生はブルネイ、モンゴル、カンボジア、グルジア、リトアニア、ボリビア、パラグアイ、グアテマラ、ベネズエラ、ポルトガル、ベラルーシ、モロッコ、コロンビア、エジプト、イランで検索率100%(チェン0%)。
上述の国の多くはフィギュアスケートが存在しない国々です。
つまり、このデータは競技がほとんど普及していない国では、そのスポーツの顔である有名選手しか知られていないことを証明しています。
彼の検索率が90%だった国を見ていきましょう:
メキシコ、ベトナム、チリ、フィリピン、ペルー、ハンガリー、ルーマニア、インドネシア、インド、アルゼンチン、スウェーデン、シンガポール、マレーシア、ポーランド、アラブ首長国連邦、スペイン、ドイツ、ノルウェー、ブラジル、
羽生の検索率が75%以上(つまり3/4という高い数値)だった国も加えましょう:
アイルランド、オランダ、サウジアラビア、エクアドル、トルコ、香港、スロヴェニア、イタリア(羽生87%チェン13%)
クロアチア、オーストリア、フランス、オーストラリア、フィンランド、ニュージーランド、イギリス、チェコ、台湾、日本(羽生80%、チェン 20%)、
イスラエル、ウクライナ、パナマ、スイス(羽生75%以上)
別のチェックも行ってみました。数字ではなく漠然としたものですが、各選手にどれほどのファンがいるのかを示しています。
選手が演技を終えた直後を捉えた幾つかのスクリーンショットです。
彼らが受けとるプレゼントの量を見て下さい。
出来るだけリンクがよく見える瞬間を選びましたが、テレビカメラのアングル次第ですから、リンク全体がよく見えない場合もあります。
それではまずネイサン・チェンから始めましょう。
2018年グランプリ大会。試合はカナダで開催されました。
チェンはこの前年に既に同大会で優勝し、この時は現世界チャンピオンでした。
ショートプログラム
プレゼントは見えにくいこともありますが、ここではリンクはとてもきれいに見えます。奥の方に花束が2~3束。もしかしたら既に片づけられた後なのかもしれません。
フリースケーティング:
ここではより多くのプレゼントが贈られました。日本開催の埼玉世界選手権で、アウェーの会場だったのかもしれません。
でも実際には、観客はチェンに温かい声援を送りました。
こちらは2019年スケートアメリカ。
この時点でチェンはグランプリファイナル二連覇、世界選手権二連覇を果たしていました。
ショートプログラム:
実際、観客は彼を評価しました。
フリースケーティング:
フランスに移動しましょう。
フランス国際、ショートプログラム:
フリープログラム:
最後の大会、イタリアのトリノ、つまり中立国でのグランプリファイナル。
トリノでは両選手が出場しました。
チェンのショートプログラム:
ちなみに、フラワーガールの存在がなければ、プレゼントが投げられたことに気づきませんでした。
フリースケーティング
羽生に移る前に、パパダキス/シゼロンを見てみましょう。
彼らもこの無意味なアワードの最終候補者です。
彼らはオリンピック銀メダル(団体戦などではなく、アイスダンスのれっきとした個人戦で)、世界選手権で金メダル4個、銀メダル1個、欧州選手権で金メダル5個、銀メダル1個を獲得しています。
まずは彼らのホーム、フランス国際
リズムダンス:
フェンス際カーブ付近に数個のプレゼントが見える程度です。
この映像ではSEIKOのOの下辺りに1個
フリーダンス:
それではグランプリファイナルを見て見ましょう。
リズムダンス:
ここでもフラワーガールの存在から幾つかのプレゼントがあったことが分かります。
トリノではアリーナ・ザギトワがチェンとパパダキス/シゼロンを合わせたよりもずっと多くのプレゼントを受け取ったことは栄光ある真の記憶です。彼女はこの馬鹿げたアワードの最終候補者ではありませんので、スクリーンショットは載せませんが、興味のある方はYoutubeで動画を探してチェックしてみてください。
羽生に関してはかなり過去に遡らなければなりません。
2個目の五輪金メダルと2個目の世界タイトルを獲る前の試合から見ていきましょう。
彼には何年も前から膨大な数のファンがいることを理解して頂くためです。そしてファンの数は年々増え続けています。
これは2016年マルセイユのグランプリファイナル。つまり羽生のホームではありません。当時の彼はオリンピック金メダル1個、世界タイトル1個でした。
中央に水色のバッグがはっきり見えますが、これは女性がぬいぐるみを投げようとして誤って持っていたバッグを投げてしまったようです。
しかし、他のものは全て本物のプレゼントです。
私達は今ではもっと凄まじい光景に慣れていますから、物足りなく感じるかもしれませんが、彼以外でこの量のプレゼントを受け取るスケーターが何人いるでしょうか?
過去に全米のミシェル・クワン、あるいは日本開催だった2014年世界選手権の浅田真央で見たことがあります。
彼女達に関してはこのような事が何度かありましたが、その度に観客に衝撃を与えました。
しかし、羽生の場合、もはや習慣になっているのです。
フリー:
フラワーガールに袋を与えた主催者は有能でした。
おかげでより素早くプレゼントを集めることが出来ました。
他の主催者達も投げ込みを禁止するのではなく、このようなアイデアを見習ったらどうでしょうか?
これは2017年ヘルシンキ世界選手権です。
ショート:
フリー:
最悪のアングルですが、これ以上の映像は見つかりませんでした。
韓国開催のオリンピックに移りましょう。
そして日本と韓国はあまり仲良くありません。
ショート:
フリー:
ここではプレゼントはあまり多く見えませんが、フラワーガールの数が氷上が何故これほどきれいに片づけられたのかを物語っています。
ショートについても同じことが言えます。
写真より動画の方が状況を顕著に物語っています。
興味のある人は動画を探して下さい。
私は時間のない人のために概略しました。
平昌のリンクが黄色に染まらなかったのはフラワーガールの数と彼女達の素早さのおかげです。
集められたぬいぐるみが詰まったビニール袋の写真を誰か見つけてくれたら、喜んで投稿します。
2018年ヘルシンキGP
この時、羽生は2度のオリンピックチャンピオン、2度の世界王者になっています。
ショート:
フリー
2018年ロステレコム杯
ショート:
フリー:
2019年スケートカナダ
ショート:
フリー:
NHK杯と2019年世界選手権は羽生のホームで開催された大会ですから省略しました(でもスケートアメリカは省略しませんでした)
2019年グランプリファイナル
チェンとパパダキス/シゼロンも出場した大会です
ショート:
画像は(それでも十分衝撃的ですが)動画ほど、リアルに状況を伝えていません。大量のプーシャワーが永遠に続きそうに見えました。
フリー:
最後の試合
2020年四大陸選手権
ショートプログラム:
ここではリンクがぬいぐるみで溢れたことに責任を感じて、自らフラワーガールの手助けをしました。
フリー:
プーシャワーの真っ最中で、まだ全てのぬいぐるみが下まで落ちていません。
この時、既に新型コロナの緊急事態が始まっていましたから(当時は多くの人がアジアだけの問題だと思っていました)、多くのファンが試合観戦を断念したことも忘れてはなりません。
フィギュアスケートの普及に最も貢献したスケーターは誰か?と訊かれたら
答えは明らかだと思います。
ついでに10万8000人が集まった2度目の凱旋パレードの写真も追加しましょう。
しかしながら、最も滑稽なのはISUによって編集された羽生の紹介文です。
「羽生結弦は、日本男子として初めて五輪金メダルを獲得し、試合で初めてクリーンな4回転ループを実施し、トータルスコアで初めて300点を超えました。2度のISU世界選手権チャンピオン、ISU四大陸チャンピオン、4度のISUグランプリファイナル・メダリスト、4度の全日本チャンピオンです。ISU世界ジュニア選手権、ISUジュニアグランプリファイナルでも優勝し、世界で最も華やかなスケーターの一人となっています」
これが全てを語っています。
これでも私達は、潔くない被害妄想に取りつかれた、哀れなFanyuですか?
ことあるごとに羽生の偉業の価値を下げようとするISUではなく?
良い演技をしたチームメイトのおかげで団体戦金メダルを獲得したチェンを称賛し、羽生が個人戦のオリンピック金メダルを1個ではなく2個獲得したことは忘れるのですか?
2個です!
1個目は19歳の時でした。戦後、彼より若い年齢で男子金メダルを手にしたのはディック・バトンだけです。
バトンと言えば・・・複数のオリンピック金メダルを獲得したスケーターがこれまでに何人いたでしょうか?
男子シングルの話です。団体戦ではありません!
リストアップしてみました:
- ギリス・グラフストローム3個(1920年、1924年、1928年)
- カール・シェーファ2個 (1932年、1936年)
- ディック・バトン2個 (1948年、1952年)
- 羽生結弦2個 (2014年、2018年)
世界タイトルを何度も手にしながら、オリンピック金メダルを獲れなかった選手が何人いると思いますか?
長くなり過ぎますので、ここでは世界タイトル3度以上の選手に限定しました。
- エメリッヒ・ダンツァー(世界金3個、五輪メダルなし)
- カート・ブラウニング(世界金4個、初めて4回転ジャンプを成功させたスケーター、しかしオリンピックには3度出場しながら、最高5位入賞)
- ウィリー・ベックル(世界金3個、オリンピック銀2個)
- エルビス・ストイコ(世界金3個、オリンピック銀2個)
- パトリック・チャン(世界金3個、オリンピック銀1個)
偉大なチャンピオンでもオリンピック金メダルを獲るのは簡単なことではないのです。
私達の時代に、オリンピック金メダルを1度ではなく2度、しかも66年ぶりの二連覇を達成し、最も困難な快挙を成し遂げた現役選手がいるというのに、その偉業を紹介文に入れるのを忘れますか?
日本以外に目を向けると、日本人初ではなくアジア人初の男子シングル金メダリストです。
大陸史上初というのは、競技の枠を超えた快挙と定義しなければなりません。
羽生はトータルスコア300点越えだけでなく、ショートで100点、フリーで200点を超えた最初の選手であることを書くのも忘れていますが、五輪二連覇に比べれば些細な欠落です。
こうして比較してみると、冗談ではなく、イェール大学は幾つかの結果より重視されているようです(早稲田はそうではありません)。
しかし、世界最高得点を19回更新したことは言及するに値したのではないですか?
彼に次いで世界記録を多く獲得したエフゲニー・プルシェンコは13回止まり。続くパトリック・チェンは7回です。
更に読み進めると重大な誤りがあります。
グランプリファイナルでメダルを4度獲得。
これは間違いです。
4回獲ったのはタイトルです(2013,2014、2015、2016年)。
ファイナルの優勝数で彼に並ぶのは唯一エフゲニー・プルシェンコだけですが、羽生は4大会連続で優勝した史上初にして唯一のスケーターです。
2012年と2019年の銀メダルを加えると、彼はグランプリファイナルで合計6個のメダルを獲得しています。
ISU世界ランキング1位に君臨したシーズン数でも羽生は史上最高です(6シーズン)。
羽生に次ぐのはプルシェンコの4シーズン、高橋の3シーズン、パトリック・チャンの2シーズン、ジェフリー・バトル、トマシュ・ベルネル、エヴァン・ライサチェク、そしてネイサン・チェンは1シーズン。
でもWorld Standingsに何の価値があるのでしょう?
イェール大学ではないのです!
そう言えば、四大陸選手権に出場しなかったチェンの世界ランキングの順位が低いことに苦言したジャーナリストがいましたが、ブライディ・テネルの順位が高く、アリョーナ・コストルナヤが低いことはおかしいと思わなかったのでしょうか?
自分達にとって都合の悪いことだけ不公平に見えるのでしょう。
最後にジュニアカテゴリーで全冠達成したことに触れていますが、真実を語るためのささやかな努力が出来なかったのでしょうか?
羽生は男子シングルでスーパースラムを達成した唯一のスケーターです。
最優秀スケーター候補を紹介する文章で、何故、彼しか達成していない偉業に触れることを躊躇するのでしょう?
この紹介文を編集した人には、この夏、東京で開催されるはずだったオリンピックのメダルをデザインした川西純市のデザインコンセプトは知らないでしょう。
どんなに強いアスリートでも困難な時期がある、でもその最も暗い時期を乗り越えた時、勝利の歓びはより光り輝くという考えを強調するために、交錯する光と影を表現したいというアイデアから生まれたデザインだと彼は説明しています。
そして「大怪我を乗り越えて二連覇を達成した羽生選手のように」と。
彼は羽生の社会貢献と、自身も巻き込まれた地震だけではなく、様々な自然災害の犠牲者のために彼が何をしているのか、漠然と聞いているはずです。
2018年、安倍晋三首相は1977年に誕生したスポーツ、芸能、文化界の功労者に与えられる「国民栄誉賞」を彼に授与しました。
羽生は26人目の史上最年少の受賞者でした。
オリンピック二連覇だけでなく、人々に希望と勇気を与えた彼の能力も評価されての受賞でした。
しかし、このこともISUにとっては全く重要ではないのですね。
まず、大会プロトコルでフィギュアスケートの試合は「茶番」に成り下がったことを私達に告げ、今度はISUが自ら「侮辱」になるほど偏った紹介文を書いて、それを認めるのですね。
Edit:幾つかのツイートをご紹介します。
私は既に書き過ぎました(もっと言いたいことはありますが、時間に限りがありますから)・・・
Google trends worldwide of the past one year comparing Yuzuru Hanyu and your precious Americans. Now who is really popularising your sport? @ISU_Figure pic.twitter.com/cZ4tynNAbf
— cottoncandy1994 (@figureskatingt2) July 4, 2020
☆この他にも世界中のFanyuの分析ツイートが紹介されています。
マルティーナさんのブログからご覧下さい
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☆マルティーナさんのリサーチ力、情報量、分析力、文章力にはいつものことながら感服します!
しかも仕事が早い!
しかし、Google Trendsのデータには驚きました!😮
グアテマラとかボリビアとかブルネイにYuzuru Hanyuで検索している人がいるということですよね?
フィギュアスケートの試合は放送されていないと思うのに・・・
どうやって羽生君のことを知ったんでしょう?
凄いデータをありがとうございます!
ここで触れられている平昌団体戦のアメリカ銅メダルですが、そう言えばイタリアでは議論が巻き起こった、曰くつきの結果でした。
女子フリーでカロリーナは2つのジャンプで回転不足を取られて4位でした。これで最終競技のアイスダンスを残してイタリアのメダル獲得の可能性がなくなり、解説陣もイタリアメディアもアメリカにメダルを与えるためにアメリカ選手の回転不足とエッジを見逃し、カロリーナは不当に下げられたと激怒していました。
カロリーナは自分の得点について何も言いませんでしたが、チームメイトのアンナ・カッペリーニが「カロリーナは素晴らしかった。ジャッジに対しては怒りしかない」とコメントしていたのが印象的でした。
マッシミリアーノさんFBのスケートファン達はISUに手紙かメッセージを送ると言っています。
アワードに対する苦情はなく(アワードは心底下らない賞だと思っているようで、結果はどうでもいいようですし、そもそも見る気もないようです)、ISU公式ページに掲載された紹介文の誤記や偏向、ジャッジやコントロールパネルの評価と判定の矛盾について。
皆さん英語が達者な上、知識層の聡明な方が多く、感情的でヒステリックな罵倒や抗議は逆効果だと言うことも分かっています。