男子フリーの実況解説から
羽生結弦選手の演技と金メダルが確定した宇野昌磨選手のK&C→待機部屋→フラワーセレモニーまで
昨日中に訳したかったのですが、何しろ非常に長い上にフリー動画のループが止まらなくなってしまって翻訳に全く集中できず、結局今日になってしまいました
イタリアEuroSportチャンネルより
演技動画>>
Elena Cさんの動画
Grazie Elena!💛
実況:マッシミリアーノ・アンベージ(M)
解説:アンジェロ・ドルフィーニ(A)
M:さあ羽生結弦の時間がやってきた
今大会のショート首位で現オリンピックチャンピオンだ
オリンピック二連覇は遥か昔1952年のディック・バトン以来の快挙だ
今日、羽生結弦が何をするか見てみよう
長い間怪我でリンクから離れていたからコンディションに疑問があるが、昨日は神々しい滑りを見せ、くらくらするほど美しいショートプログラムを披露した
これは滑り慣れたプログラム
彼はこのプログラムで満点に近い最高得点を獲得するためにこのオリンピックで再び使うことにした。
見てみよう
(演技中)
A:4サルコウ
A:4トゥループ
A:3フリップ
A:4サルコウ/3トゥループ
A:4トゥループでステップアウト
M;Repになってしまう
A:3アクセル/ループ/3サルコウ
2本目のトゥループで失った点をここでリカバリーした
A:3ルッツで着地が乱れた
M:素晴らしい演技
依然として彼の惑星の唯一の住人だ
でも2つ目のオリンピックタイトルを確信するには待たなければならない
高得点が出るだろう
110点の技術点、95点以上の演技構成点が出るだろう
何故ならジャンプの難度は少し下げたけれど、このプログラムは要素間のトランジションがものすごく豊かだった。羽生史上最もトランジションの豊かなプログラムだ
A:本当に細部まで洗練されていた
このプログラムの実施の完成度を完璧にするためにどれほど練習を積んできたかは明白だ
4サルコウ/3トゥループまでは完璧だったから非常に高いGOEを獲得した
その後で小さなミスがあった
4トゥループでステップアウト、最後の3ルッツも堪えた
実際には得点的に重い失点は4トゥループだった
なぜならステップアウトだけでなく、同じジャンプのリピートになってしまったからだ
このプログラムは勿論200点を超える
205点として現時点ではトップに立つからメダルは保証されるが、色はまだ分からない
フェルナンデスと宇野昌磨にはまだ扉が開いている
とはいっても彼らが恐るべき演技をすればだけれど
ただ可能性はある
M:自分自身に対して非常に厳しいユヅルが凄く満足しているように見える
ブライアン・オーサーと抱き合っている。彼はこれからハビエル・フェルナンデスを見なければならない
ユヅルはもっといいフリーを滑ったことはあるけれど
彼は最初別の構成を考えていたけれど、構成を少し下げざるを得なくなった。
構成を下げたといっても4回転ジャンプ4本と3アクセル1本のプログラムだけれど
前半は驚異的だった。少しの乱れもなく、繋ぎのパッセージ、ステップの質、エッジの深さという点においてこれまで見たこともないほど豊かなプログラムだった
A:まさにその通り
彼のスケーティングのしなやかさ、滑らかさ、軽やかさ、そして4回転ジャンプ自体のクオリティ
最初の2本、サルコウとトゥループは途方もなかった
そして少し疲れが出たのだろう
忘れないでもらいたいけれど、この選手は怪我をして今シーズンの要となる時期、滑ることが出来なかった
M:このフリープログラムでどのぐらいの得点を持ち帰ることが出来るか見てみよう
間違いなく200点を大幅に超える得点だ
でもネイサン・チェンのフリーの得点を超えるのは難しいだろう
ネイサン・チェンは215点だから4回転ジャンプが足りなかった
でも羽生結弦がクリーンな演技をしていたらフリーでもネイサン・チェンを上回っていた
だから他の選手達にまだ扉が開いていると言ったのだ
宇野昌磨とハビエル・フェルナンデスにとって羽生結弦に勝つことは簡単なことではない
少しのミスもない人生最高の演技をしなければならない
羽生は演技構成点で97点近い得点に値するだろう
絶対的エクセレンスに近い
点数を待とう
206点から207点だろう
A:でもライバル達にとってこのレベルに達するのは容易なことではない
ショートの後、彼は一段高い所からライバル達を見下ろしていた
M:フェルナンデスはフリーで215点を超えたことがある
317.85点
2位に大差をつけて首位に立った
ジン・ボーヤンとの差は20点
でもまだ試合は終わっていない
特に次に滑る選手に注意しなければならない
ハビエル・フェルナンデスだ
A:確かにハビエル・フェルナンデスは彼を上回れる点を握ってはいるけれど、これまでに1度も317点を超えたことがない
彼の自己ベストは314.93だ
☆その後の実況から印象的だった部分を抜粋します
<ハビエル・フェルナンデス選手の演技中>
A:命運を分ける瞬間がやってきた
フェルナンデスの2本目の4サルコウ
ダブルになってしまった・・・
このジャンプに金がかかっていた
<宇野昌磨選手の演技中>
A:ああ!4ループで転倒
M:もう金メダルは二連覇の羽生結弦で言っていいだろう
でも今は宇野昌磨の演技を見よう
<宇野昌磨選手のK&C>
M:日本はおそらく最も価値のあるメダル2個を持ち帰る
史上初のワンツーフィニッシュだ
スペインも今大会、史上初めて冬季五輪で2個目のメダルを持ち帰る
だからみんなお祝いすることが出来る
フェルナンデスのメダルも決定だ
羽生はディック・バトン以来の五輪二連覇を達成した
宇野昌磨の得点を待とう
おそらく2位だろう
日本が金銀
日本にとってこのオリンピック大会9個目のメダルだが、今大会ようやく最も高価な金属でできたメダルを獲得した。
勝ったのはあらゆる時代を超えて最も偉大な選手
羽生結弦
彼のような選手は誰も存在しない
彼のようにこれほどの技術的クオリティと芸術的クオリティを氷上で披露出来る人は誰一人存在しない
僕達は何度も言った、技術的全能が卓越した芸術性と融合した時、羽生結弦が現れる、今泣いている羽生結弦が
今シーズン、彼の身に起こった全てのことを考えたらどうして泣かずにいられる?
A:皆さん見て下さい
彼が感極まって、観客に感謝している
彼が最も困難な時期に彼のファン達は皆、彼を応援し、彼を励ました。
ホーム開催のグランプリ大会で負傷して、その大会を断念し、ファイナルも断念し、全日本にも出場出来なかった
M:彼の本当の夢だったオリンピックで4種類の4回転ジャンプを跳んで優勝するという目標も断念しなければならなかった
だって彼は4種類の4回転ジャンプを既に跳んでいたのだから
A:しかも試合でね
M:ループとルッツを諦めなければならなかったけれど、勝った
つまり誰が正しかったのか?
アンジェロ・ドルフィーニだ
A:ハハハ
M;彼は最初から何と言っていたか?
A/M:ルッツは、い・ら・な・い
M:ルッツ無しでも問題なく勝てると
フリーでは小さなミスがあった
4回転1本で
A:最終的に繰り返すクワドを1本にして3アクセル2本の構成ならより確実だった
でも勇敢だった。彼はどうしても4本のクワドを跳びたかったのだ
4トゥループ2本と4サルコウ2本
苦しい終盤も彼は歯を食いしばって滑り切った
そして途方もないショートプログラムとハイレベルなフリープログラムを引き出した
ミスはあったもののリスクを冒して凄まじいフリーを滑り、後に続く選手達の背中を押したネイサン・チェンも誇りに思うべきだ
M:羽生とフェルナンデスはこのオリンピックまでの4年間の世界王者だった
彼らの間に割って入った宇野昌磨はヘルシンキ世界選手権の銀メダリストだ
とりわけここ最近、一番安定していた
<待機部屋からフラワーセレモニーへ>
羽生結弦はたった今2個目オリンピック金メダルを手にした
二連覇だ
クラクラするほど美しいショートプログラムと表彰台に乗った二人を上回る素晴らしいフリープログラムでこの勝利を獲得した
結果的に羽生は2位以下に11点近い大差をつけた
この大会の勝者は誰か?
2人の選手を表彰台に上げたブライアン・オーサーだ。
一人はスペインのハビエル・フェルナンデス、もう一人は言うまでもなくこの大会の勝者、羽生結弦だ。
1952年以来、実に66年ぶりにディック・バトンの記録に並んだ
同国選手による金銀メダルは今大会と同じぐらい歴史的な大会だった2002年ソルトレイクシティ大会まで遡らなければならない
ヤグディンが優勝し、プルシェンコが驚異的な挽回でゲーブルから銀メダルをもぎ取った大会だ
4回転対決と定義された初めての大会だった
(ソルトレイクシティ大会の話題は省略)
A:ハビエル・フェルナンデスは相応しい銅メダルを獲得し、オリンピック銅メダルは彼のこれまでの素晴らしいキャリアの仕上げになった
おそらく4年前に獲得していたはずの銅メダルを今大会、ようやく首にかけることが出来た。
宇野昌磨は大満足しているだろう
今シーズン、最も規則的で安定していた選手で、フリーで何度も200点近い得点を獲得し、ショートプログラムで100点を超えた
そして今回、またしてもトータルスコアで300点を超えた
でもこの瞬間、画面に映っているこの絶対的な規格外の選手の前には、ただひれ伏すしかない
羽生結弦
史上最高の選手
少なくともこれが僕の意見だ
M:同感だ
過去を振り返っても彼と比較出来る選手は存在しない
A:彼が獲得してきた戦歴を遥かに超えて
M:プルシェンコはこれほど圧倒的ではなかった
勿論偉大な選手だったけれど
比較の対象を探すとしたらもっと大昔の偉大なスケーターまで遡らなければならない
でも当時は今とは違うフィギュアスケートだった
A:別のフィギュアスケート、別の時代、競争の環境も違っていた
羽生はハードルを恐るべきレベルまで引き上げ、多くの選手が彼を追いかけた
この瞬間、男子シングルには多くの一流選手がいて、それぞれ異なる特徴を持っている
皆が泣いている
羽生とフェルナンデスが抱擁を交わしている
同門の二人が驚異的な成績を持ち帰る
M:オーサーがこのシャッターチャンスを逃さず撮影している。
泣かずにはいることなんて不可能だ
ユヅルは堪え切れずに泣いているし、僕達ももう限界だ
だってユヅルのこれまでの軌跡は苦難の連続だった
日本を襲ったあの地震まで遡らなければならない
いやただの地震以上の災害だった
津波がユヅルの生まれた地、宮城県に壊滅的な被害をもたらした
彼は仙台出身だ
仙台の選手は故郷に3つのオリンピック金メダルをもたらした
荒川静香の1個と羽生結弦の2個だ
日本にとっては冬季オリンピック11個目の金メダルだ
10位以内に多くの選手が入っていることを考えるとこの数字は少ない
(中略)
でも今日は日本のワンツーフィニッシュに国中がお祭りだろう
ここ数年の状況を見てもこれは正しい結果だろう
なぜなら宇野昌磨は羽生結弦の技術的クオリティがないにも関わらず、同国の著名選手に追いつこうと努力し、時には彼と競り合うこともあった
例えば昨年のヘルシンキ世界選手権がそうだ
でもこの大会では最初から勝負にならなかった
ショートプログラムで羽生は圧倒的に彼を上回り、フリーで更に差を広げた
A:そうだね。非常に賢く、自信を持って滑り切った
フリーの構成は少し違っていてもよかったけれど、最終的に日本の選手が取った戦略は正しかった。彼はまたしても究極の技術と、圧倒的な実施とパフォーマンスのクオリティを見せてくれた
<フラワーセレモニー>
M:第3位はスペインのハビエル・フェルナンデス
スペインにとって氷の競技での初メダルだ
(その他のスペインのメダリストについての話は省略)
M:第2位はこの表彰台最年少の選手、日本の名古屋出身の宇野昌磨
シニアでは万年2位だ。
でもメダルが掛かった重要な試合で彼は大体実力を発揮する
A:彼は(ボストン世界選手権で)手に入りかけていたメダルを戦略のミスでドブに捨ててしまった。でもこれで身を持って学習し、今回のように冒頭でミスをしても自分をコントロール出来るようになった。銀メダルに相応しかったと思う
いずれにしても安定した2つのプログラムのおかげで表彰台の2番目に高い所に上る
M:でも金メダルは最も待ち望まれていた選手の元に行く
ウィンタースポーツの神のような存在だ
ウィンタースポーツで羽生のような選手が他にいる?
おそらくショーン・ホワイトかな?おそらくだけれど
2014年と2018年の2大会連続のオリンピックタイトル
今シーズンはより苦難に満ちていた
シーズン中に大怪我を負い、長期間滑ることが出来ず、最後までそのコンディションに疑問が持たれていた
彼が非常にこだわっていた2つのジャンプを断念せざるを得なかった
ミラノの世界選手権に出場し、これらのジャンプを跳んでくれることを僕達は願っているけれど
既に2度の世界タイトルと2度のオリンピックタイトルを獲得した
でも彼は量ではなく、質で差を付ける
彼が実施する内容のクオリティだ
オリンピックチャンピオン、羽生結弦
このオリンピック大会の顔は間違いなく彼だ
他の選手達に文句は言わせない
A:表彰台の一番高い台に飛び乗った!
僕達を興奮させるジャンプで
振付を表彰台でやって見せた
観客は熱狂している
この選手に本当に相応しい勝利の瞬間だ
彼はこの4年間、いやこの8年間、僕達に夢を見させてくれた
M:僕達に夢を見させ、僕達を泣かせ、感動させ、時には怒らせ
A:全くだ
M:でも今後再び彼のような選手が現れるかどうかは疑問だ
A:難しいだろうね
彼のことを考えると・・・絶対的な規格外の選手だ
皆が質より量で勝負する中、彼は量より質で勝った
そしてどのように勝ったか?またしても二位以下に大差をつけて圧勝した
それにこのような熾烈な戦いにおいても彼は勝ちに行く術を知っていた
これはまさに伝説に残る大会だった
(表彰者の紹介は省略)
M:さあ、そして彼の番だ
羽生結弦
観客が大声援を送っている
A:日本の中でも外でも非常に注目され、非常に愛されている人物だ
一言で言うとスーパースターだ
ウィンタースポーツで彼のような選手は本当にごく僅かしかいない
M:これが平昌オリンピック男子シングルのメダリスト達
羽生結弦が二連覇で優勝し、フィギュアスケートの伝説になった
☆本ブログに掲載されている翻訳のあらゆる形式での複製(読み上げによる音声での再現、テキスト動画、印刷物などが含まれますがこれに限定されません)、全文の無断転載、Youtube等の他のメディアでの使用は固くお断り致します。
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☆フリーはあまりにも凄すぎて言葉でどう表現したらいいのか分かりません
未だに思い出すだけで身体が震えます
平昌に到着した直後のインタビューで「勝ちたいという気持ちが誰よりも強い」と言っていましたが、本当に「絶対に勝つんだ」という強い気持ちが伝わってきて圧倒されました。最後のステップシークエンスでは涙が止まらなかった
そして試合が終わった今、彼の右足が実は痛み止めを打たなければならないほど酷い状態だったという事実を知り衝撃を受けています。
インタビューであんなに明るく屈託のない笑顔でもう痛みはないと言い切っていた羽生君
でも実際にはこの金メダルのために選手生命を賭けて戦っていたんですね
何という精神力、何という意志の強さ、何という頭脳でしょう!
姑息な駆け引きや小細工や損得勘定で動く人が多い今の世の中にあって、何と強く、美しく、真っすぐな心を持った人なんでしょう!
私は羽生君がソチで金メダルを獲った時から、次も絶対に彼が取るとずっと信じて疑わなかったけれど、今は本当に彼は取るべくして取った、この金メダルに最も相応しい人だったんだと心から思います。
まさに命懸けで掴んだ金メダル
私は彼がミラノ世界選手権に来てくれることをずっと夢見ていたけれど、今は絶対に無理をしないで欲しいという気持ちでいっぱいです。
私は少しでも長く彼のスケートを見ていたいから
今は無理をせず、怪我を治すことを最優先して欲しい
彼にはまだ4アクセルという目標があるのだから
ハビも宇野昌磨君もおめでとう!3人とも本当に素晴らしかった!
羽生君
金メダルおめでとうございます!
そして本当にありがとう!