羽生結弦選手の演技の解説です。
実況:マッシミリアーノ・アンベージ
解説:アンジェロ・ドルフィーニ
<演技前>
マ:さあ、羽生結弦の答えを見よう。日本男子で世界選手権で2度優勝した選手はいない。女子でも2連覇した選手はいない。
浅田真央は3度世界選手権で優勝しているが2年連続で優勝したことはない。
ア:つまり、また歴史を作るために滑る。ユヅルにとって歴史を作るのは初めてじゃないけれど。偉大なスケーター、途方もない才能。驚異的なシーズンベスト
マ: 172点で首位に立てる
ア:決して平凡な得点じゃないけどね。
<演技後>
マ:プログラム開始から40秒後以降は完璧だったね。
冒頭のジャンプが入らなかった。4サルコウは元々得意なジャンプじゃないけれど、通常完璧に入る4Tも決まらなかった。それでも技術点は90点だよ。
ア:その通り。ショートでの得点差もあるし、カザフスタンのデニス・テンの攻撃をかわして余裕で首位に立つだろう。
でも明らかにベストの羽生じゃないし、そのことは試合前から分かっていた。6分間練習では素晴らしい4サルコウを決めるのをみたけれど
マ:正直びっくりしたよ。
ア:今季はGPFで初めて高いGOEの付く質の高い4サルコウ決めている。4サルコウは良くてステップアウト、あるいは転倒が多いからね。今日は4回転が2回転になってしまった。4Tは転倒した。
いずれにしてもこの選手は・・・(笑)ぬいぐるみ攻めにあってるね!!いずれにしても驚異的なポテンシャルを持つ選手で、例え100%のコンディションじゃなくても誰にとっても手にも負えない強敵になる。
マ:この選手のポテンシャルは全く驚異的だ。そして彼がプログラム後半に何をやってのけたのかを見なくちゃいけない。恐るべき構成だ。彼はトリプルアクセルをただ跳ぶんじゃない。非常に難しい入りから跳んでいる、信じられないよ
ア:それもコンビネーションでね。1つ目は3Tとのコンボ、もう一つは1Lo-3Sとのコンボ
そして全てのスピン、他の全てのエレメンツのクオリティ
マ:ダブルジャンプを跳ぶ時には必ず両手を上げる。こういう小さな工夫でGOEを稼ぐ。
ア:(笑)このプログラムにダブルジャンプはほとんどないけれど・・・
マ:そうだけど、いずれにしてもでも手を上げて跳んでいる
ア:(ダブルは)1つだけ(笑)トリプルルッツの後のダブルで両手を上げている。
マ:その通り。事実を言えば、本来ならこのルッツの代わりに4Tを跳ぶはずだった。
ア:2本目のね
マ:でも今シーズンは体調で多くの問題があって断念した。来年は挑戦するだろうね。
ア:来シーズンだね
マ:そう、今年の秋だね。
ア:いずれにしても恐るべき才能。アクセルは超現実的なものがある。このような質のジャンプを後半に決める。しかもその前にルッツも跳んでいる、本来なら4Tのはずだったから後半最初のジャンプにトリプルアクセルを持ってこなかったんだと思うけど。
(3A-1lo-3Sのスロー映像を見て)
ここでは着地でやや前のめりになっているけれど、すぐに立て直して3Sを付けている。
マ:トリプルアクセルのコントロールにおいて類まれな能力がある。プルシェンコもトリプルアクセルが得意だったけれど、ジャンプへの入り方が違う。
ア:いずれにしてもプログラムの前半に跳んでいた。勿論、当時とはルールも違うし、違うタイプのスケートだった。プルシェンコのトリプルアクセルの安定性について何の異論もないけれど、(羽生は)プログラム開始から2分とか2分半後に跳んでいる。それも2本のクワド、その他のトリプル、スピン、それに10-12年前の旧採点システム時代に比べたらずっとハードで難しいステップシークエンスを行った後にね。本当に前代未聞だよ。
マ:しかもミスに押しつぶされない強さもあるね。最初の2本のクワドで失敗したらやる気をなくしてしまう選手はたくさんいるからね。でも彼のプログラムはそこ(ミスの後)から始まって、その後全くミスをしなかった。2つのエレメンツ無しでTES90点を獲得してね。転倒の4Tでは何点かもらえたけど、4Sはほとんと点にならなかった。
ア:1点と少し、ほとんどゼロに近い
マ:コンポーネンツでどれぐらい点が出るか見てみよう。ユヅルは今シーズン90点以上を出している。
ア:今日はもう少し低いかもしれないね。
マ:271.08点
ア:技術点が少し下がったね
マ:フリー2位だね。デニス・テンが数点上回った。
ハビエル・フェルナンデスがどう滑るか見てみよう。今日は世界タイトルを取るビッグチャンスが巡ってきた。
(羽生君がハビエルにエールを送る)
マ:信じられないよ(笑)
ア:リンクメイトを応援している
マ:ハビエル・フェルナンデスがここにいるのはある意味、羽生結弦の存在が影響していると言える。彼らの関係をよく表しているね。
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☆ マッシミリアーノさん&アンジェロさん、最初から最後までべた褒めでした。
ハビ君の演技の後は、羽生君を上回るかどうかと計算に忙しく、演技についてはほとんど話していなかった・・・
羽生君、悔しいだろうけれど、更にパワーアップするために必要なステップだったんじゃないかと思います。
中国杯、NHK杯、GPF、全日本、そして今回の大会と他の選手なら出場を断念するようなコンディションで出場し、結果を出して本当に凄い選手だと思います。
手術、ねん挫と思うように練習が出来ない中で、逃げずに出場し最後まで滑り切った経験は今後の糧になるでしょうね。
ミスがあったけれどショートもフリーも感動しました。
今シーズンは身体を大切にして少しは休むことも覚えなさいという神様からの戒めだったのかな?
本当にお疲れ様でした。
今はとりあえずゆっくり休ませてあげて欲しいです。