Neveitaliaポッドキャスト「宇野昌磨は羽生結弦の真のライバルになれるか・他」

マッシミリアーノさんのフィギュアスケート専用ポッドキャスト『Tutti con Ambesi』は毎週放送されています。放送時間は毎回150分前後で全てご紹介するのは不可能なので、各回の要点、または印象に残った部分をご紹介します。

出演
マッシミリアーノ・アンベージ(イタリア・ユロスポ実況/コラムニスト)
アンジェロ・ドルフィーニ(元フィギュアスケート選手で元イタリア・ナショナルチャンピョン、イタリア・ユロスポ解説)

 10月27日放送
「宇野昌磨は羽生結弦の真のライバルになれるか」

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まず宇野選手の履歴、昨シーズンからの目覚ましい成長について説明。3アクセルと4トゥループの習得、ルッツのエッジ矯正など以前ご紹介したポッドキャスト(こちら)とほぼ同じ内容なので省略。

<羽生結弦選手と宇野昌磨選手の比較>

かなりおおざっぱな要約:

タイプは全く異なるけれど共に技術と表現力を兼ね備えたコンプリートな選手。
宇野昌磨は高橋大輔を彷彿させる。
日本メディアや一部のファンの間では羽生結弦と宇野昌磨のライバル争いを煽る動きがある。
結弦と昌磨ではシニアに上がった年齢も違うし、結弦がジュニアからシニアに上がった頃と今ではフィギュアスケートの傾向も異なるから2人のシニアデビューシーズンを比較するのはナンセンスだ。

結弦がシニアに上がった頃は、フリーの構成が4トゥループ1本、後に2本+3アクセル1本のパトリック・チャンが絶対王者の時代だった。

今はフリーで4回転2本、2種3本跳ぶ選手が多くいる。そして羽生結弦こそが男子シングルの技術レベルを一気に押し上げ、進化させた立役者なのだ。

では現在の結弦と昌磨を比較するとどうか。
現時点では結弦と昌磨の間にはショートで10点、フリーで20点、合計30点ほどの点差がある。
具体的に言うとショートでは結弦の3Aには自動的にGOE+3が付く。
昌磨の3Aはそこまでのクオリティではない。
更にコンビネーションジャンプのファーストジャンプが結弦の3ルッツに対し、昌磨は3フリップだ。
これは昌磨にとってルッツはエッジを矯正したとはいえあまり得意なジャンプではないからだろう。
ルッツとフリップの基礎点の差と後半のボーナス点+GOEを考慮するとここでも1点以上の差が開く。

そして演技構成点では様々な理由によって現時点では結弦の方が高得点を獲得出来る。
演技構成点の観点から昌磨の方が優れている点を挙げるとしたら、上半身の使い方。
一方の羽生結弦は足技、スケーティングスキルで優っている。

フリーではもっと得点差が開く。
結弦の一番のアドバンテージは2種類の4回転を跳べるということだ。
これはチャンとテンに対しても言えることだが、4回転1種類だと8トリプルを跳ぶことが出来ず、7トリプル+2アクセルにせざるを得なくなる。
でも宇野昌磨も練習では4サルコウを成功させているようだから、今後構成を上げてきたら羽生結弦の真のライバルなる可能性がある。

ただし羽生結弦も毎シーズン構成を上げていて、来シーズンは4ループを入れてくる可能性があることも忘れてはならない。
そうなるとまた差が開くことになる。

競技に対する姿勢を比較すると、昌磨の方が勝負に徹している。
昌磨はライバル達に勝ちたいという気持ちがモチベーションの源になるタイプ。
一方の羽生結弦は自分自身が最大のライバルで、自分が理想とするフィギュアスケートを追及するタイプ。例えそのことで失敗のリスクが高まるとしても。しかしこれこそが真のチャンピョンのメンタリティと言える。

例えばジン・ボーヤンが4ルッツを跳ぶのを見ても、昌磨は勝敗を第一に考え、無謀な挑戦はしないだろう。
だが羽生結弦は違う。

「ブライアン、奴が4ルッツを跳ぶなら僕も跳ぶ」とブライアン・オーサーに直談判しかねない。

いずれにしても宇野は傑出した才能を持つ選手で平昌オリンピックは羽生と宇野で日本フィギュアスケート史上初の金銀ということだってあり得る。

平昌オリンピックの日本代表は羽生結弦、宇野昌磨、山本草太の3人だろう。
そして3人共メダルを獲得出来るポテンシャルがある。

つまり宇野君の方が羽生君より大人ってこと???
でも150分に渡るポッドキャスト中、マッシミリアーノさんが一番熱く語っていたのは、本来のテーマとは関係のないこちらの話題

オリンピック直後の世界選手権では有力選手が軒並み欠場するという傾向に僕は賛成できない。ソチ五輪直後のさいたま世界選手権でもソトニコワ、キム、チャン、テン、メリル/チャーリー組を始め多くのメダリストが出場しなかった。

でも僕は羽生結弦はそうではないと確信している。
2018年の平昌の後、羽生結弦なら必ずビッグタイトルをもう一つ手に入れて2冠を達成したいと思うだろう。

☆ これはマッシミリアーノさんの意見というより願望ですね・・・
2018年の世界選手権開催地はイタリアのミラノかトリノ
マッシミリアーノさんもアンジェロさんも羽生君に絶対出て欲しんでしょうね~

 

10月11日放送
「羽生結弦 vs ハビエル・フェルナンデス vs パトリック・チャン。本当にこの3人に3席あるのか?」

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かなり大ざっぱな要約:

現時点で主要大会の大本命となるのはこの3人。
予想外のダークホースは今のところ見当たらない。
デニス・テンも280点を超えられる選手だが、通常エンジンがかかるのが遅く、シーズン前半は低調なことが多い。
ただし世界選手権までには調子を上げてくる可能性がある。

グランプリファイナルはやはり羽生とチャンの対決になるだろう。
フェルナンデスはこの2人に比べると安定感に欠け、特にフリーではジャンプが抜けたり、跳べるジャンプの数を間違えてノーカウントになる失態をやらかすことがあるので一歩劣ると言える。

もし全員がノーミスなら羽生結弦が無敵。

しかし前回のポッドキャストで話したように結弦のプログラムは最も高難度でハイリスクなのでミスを連発した場合、チャンやフェルナンデスに付け入られる可能性がある。

演技構成点ではチャンがやや優勢だが、もはや僅かな差なので、基礎点のギャップを埋めるには不十分になるだろう。

いずれにしても(2人より)基礎点の低いチャンには僅かなミスも許されない。

FBのユーザーから羽生とチャンがノーミスで滑った場合、どちらの演技構成点が高いだとうかという質問があった。正直、答えるのが非常に難しい質問だ。

  • Choreography/Compositionはチャン
  • Transition/Linking Footworkは羽生
  • Skating Skillsは甲乙つけがたい
  • Performance/Execution、Interpretation of the musicはその時の演技の出来栄えで左右される項目だから現時点でどちらが優れているか判断するのは難しい。

<中国杯の真央ちゃんについて>

浅田には衝撃を受けた。
非常にハイレベルなショート。

フリーではミスがあり彼女の技術レベルからしたら納得の行く演技ではなかったかもしれないが、表現力、スケーティングスキル、洗練された動きといったクオリティにおいて現在のフィギュアスケート界では比類がない。これまでにワーグナーやゴールドの彼女に匹敵する演技を見たけれど、浅田真央が氷上に創り上げる魔法を生み出せる選手は現在の女子シングルにはおそらく存在しない。

今シーズンのフリープログラムはおそらく彼女の競技人生最高のプログラムになるだろう。

中国杯フリーのトリプルアクセルは浅田史上最高、いやフィギュアスケート史上最高のものの一つに数えられるクオリティだった。

それにしても写真のチョイスが4人共ひど過ぎる・・・
(羽生君が一番マシなのかな?ボーヤン選手とかゾンビみたいだし・・・)

 

そしてこちらは1日前のポッドキャスト

11月23日放送
「樋口と白岩、羽生とジン・ボーヤンの対決~ISUの決定について」

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全日本ジュニアの樋口新葉ちゃんと白岩優奈ちゃんの対決、ロシア女子選手、エリック・ボンパール杯FS中止を受けたグランプリファイナル出場資格についてのISUの決定について冷静に、かなりシニカルに議論していますが、羽生君の話になった途端、そこまで受けるかというぐらいバカ受けする2人。

マ:今週末、日本のエイリアンと中国のエイリアンが対決する

ア:(アンジェロさん、必死で笑いをこらえる)

マ:中国のエイリアンが目の前で4ルッツ/3トゥループを決めた時、日本のエイリアンがどう反応するか興味がある。

「これは僕にだって出来る!!!」

ア:爆笑

マ:「ブライアン!!!どうして僕は跳んだらダメなの!!!」

ア:僕には彼が目に浮かぶよ「じゃあ、僕は4ループを跳ぶ!!!」ってね(爆笑)

マ:事態を掌握するのは並大抵のことじゃない。

ア:間違いない

マ:試合がどんな結末になるか見てみよう

勿論、ジン・ボーヤンが中国杯のレベルを再現できるどうかは分からない。

ア:簡単ではないだろうね

マ:言っておくけれど、僕達は現時点では同列に語ることが出来ない2人の選手を比較している。羽生結弦は完璧以上に全てを兼ね備えた選手で、演技構成点95点、技術点110点、合計205点を出せる。

でももう一方はもしかしたら技術点で120点に到達出来るかもしれない。
もしより基礎点109点の究極難度のプログラムを披露したら

ア:全部ジャンプを降りたら120点行くかもしれないね。

 

楽しそう・・・
羽生君のセリフを妄想してバカ受け・・・(ちなみに他の選手でこういうのはないです)
羽生君、愛されていますね~
やはり愛すべき暴れ馬
そして完全にマンガのようなキャラ設定。それだけ面白いということですね・・・羽生結弦という人間が

羽生君とボーヤン選手の話題は91.57からです。イタリア語が分からなくてもお2人がどれだけ爆笑しているか分かりますので、よかったら聴いてみてください(ちなみにアンジェロさんは普段は冷静でクールな人です)

 

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu