イタリアフォーラムより「2018ロステレコム杯~現地観戦記(その1)」

最近、イタリアフォーラムは使い易いスマホ用アプリのプライベートチャットに移動してしまって、フォーラムにも最新情報は常に投稿され、更新はされているのですが、個人的な感想はみんなチャットの方に書き込んでいて、しかも開くたびに新着メッセージ200件とかになっていて・・・さすがにこれを読む時間もスクロールしながら翻訳する忍耐も私にはないので、フォーラムはすっかりご無沙汰になってしまっていたのですが、現地観戦組が素敵なメッセージをフォーラムの方に投稿してくれていましたので翻訳したいと思います。
一人当たりの投稿が非常に長いので何回かに分けて翻訳します。

イタリア羽生結弦フォーラム

結弦は私の知る最も純粋で最も勇気のある人間よ。
まだ彼が昨日成し遂げたことが信じられない。それにまだ頭がひどく混乱しているから。
私が唯一彼に言えることは、本当に心の底から感謝しているということ。
またしても勇気と意志の力と謙虚さとは何かを私達に教えてくれた。
彼の決断は万人から共感されるものではないかもしれないけれど、私には彼のモチベーションが理解できる。そして共感出来ない人も彼の気持ちをリスペクトするべきだと思う。
私達に出来るささやかな唯一のことは、彼を応援し続けること。
とりわけこのような困難な時こそ。
ユヅ、ゆっくり休んで時間をかけて治療してね。
あなたを必要なだけ待つ覚悟は出来ているわ:fiery:

 

もう何度目か分からないけれど、私達のユヅによる身体とメンタルの強さの証明を目の当たりにした後、私は何かを書き記しておかなければと思ったの。
彼を生で見る幸運を味わったことのない人に、彼が氷上で何を創り上げることが出来るのか説明するためにも。
ただし、私には語彙がないから、この湧き上がる感情の全てを正しく描写することは到底出来ないことを認めなければならないわ。
おそらく、ユヅがリンクに立った瞬間に生み出される厳粛な静けさ、破裂しそうな心臓の音しか聞こえない水を打ったような沈黙については説明できるかもしれない。
そしてステップシークエンスの開始と同時に歓喜の余り喉の奥から沸き出る制御不可能な絶叫についてもきっと説明できるわね。
魔法が終わった後、何とかこの狂気を静めようとする人がいるのは、テレビカメラの一つが自分のこの有様を捉えて、僅かに残された最後の自尊心を粉々に打ち砕いてしまうことを恐れているからかもしれないわ。
いいえ、やはり言葉で説明することなど出来ない・・・
これは体験しなければ分からないことなのよ!そして私達が体験したことなのよ。
私達は感動、興奮、共感、友情、そして涙に散りばめられた唯一無比の瞬間を生きていた。
何年かぶりに生で見たユヅは、私にある種のインパクトを与えたと言わなければならないわ。
当時の彼もその若さにも拘らず自信と才能に溢れていたけれど・・・
今回の彼とは違っていた!
まるで賢者のような聡明さで全身が包まれているようだった。
私はテレビで彼を初めて見た時のことを思い出したわ。
情熱と激情と才能の結晶で、調教を必要とするサラブレッドのようだった!
そして何年かの時を経て、私は当時と少しも変わらない激しさを彼の中に見出し、同じ炎が彼の瞳の中で燃えているのを見たわ。
そして私はこう自問自答したのよ・・・
これほど長い年月に渡る犠牲と苦悩の後で、数々の輝かしいタイトルと成功を手にした後で、この炎が決して鎮まることも、決して消えることもないなんて・・・こんなことが可能なの?
これは本当に強い力と強い魂を必要とすること。
そしてこれこそが私が彼の中の最も賛美してやまない部分だと思う:彼のやり遂げたい、進化したい、氷と音楽と私達に何もかも全てを与えたいという彼の意志。
いつものことだけれど、彼が滑り出すと時間は止まり、空間は変化し、世界は突如として最高の場所へと変わる。
全てが終わってしまうと、そこに残るのは満たすことが出来ない空虚のようで、実際には感動、思い出、そして歓びに満ちた、最も貴重な宝物をいっぱいに感じることが出来るのよ!
何年か後のある日、この記憶の宝物を再び取り出した時、私はきっとまだそこにいるような感覚を覚え、肌に触れる氷の冷たさやブレードの音、耳の中で奏でられる音楽を感じることが出来るでしょう・・・そして仙台の白鳥はまだそこで、私のために踊っているよ!

ありがとうユヅ!
この世界・・・地理的に遠く離れた赤の他人だった様々な人々が出会い、絆や友情を深め合う世界に命を吹き込んでくれてありがとう!
この絆はきっと生涯続くと私は確信しているわ。
感動をありがとう!
人生に立ち向かう勇気と意志の模範をありがとう!
あなたのスポーツとあなたのファンに対する敬意をありがとう!
あなた自身を大切にして身体を癒し、怪我を治し、前より強くなって戻ってきてね。
いつものように、あなたが自分の人生とキャリアにとって正しい決断を下すことを信じているわ

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu