ファイナル実況中の印象的なコメント、面白いと思った考察、羽生君成分を訳してみました。
実況:マッシミリアーノ・アンベージ(M)
解説:アンジェロ・ドルフィーニ(A)
<ソフィア・サモドゥロワFS>
☆アンジェロさんの褒めているのか貶しているのか分からないサモドゥロワちゃん評があまりにも的を射ていて、失礼ながらかなりツボだったので訳します
M:彼女は今シーズン、非常に安定している
A:確かに、安定感は抜群だ
M:勿論、欠点を見つけるとすると、滑りが非常にジュニアだということだ
A:僕はこのフリーは前の大会に比べてかなり進歩したと思う。
それでも相対的に見て、足では僅かなことしか行っていない
でも彼女のためにこのようなタイプのプログラムと振付を仕立てた彼女のチームは優秀だった。
彼女は上半身はよく動けているし、個性もある。
だからエレメント間の繋ぎの部分でフィギュアスケートの技術的ステップと言う点において、乏しく、簡単なことしかしていない足元から上手く目を逸らそうと試みている。
ジャンプでも本当にほとんど乱れがなかった。
ただしクオリティにおいては素晴らしいとは言えない。
現行のルールではハイスピードから跳び、ジャンプに幅と高さがあることが必須要件になった。
彼女のジャンプにはこれが少し足りない
M:つまりジャンプの高さと幅が足りないね。
でもこの項目はGOE+4、+5を獲得するための必須要件となった。
でも実際にこのルールに則って採点されているかというと、まだシーズンが始まって数か月だけれど、本を一冊書くことが出来る(つまり正しく適用されていない)
A:(爆笑)
☆ちなみにボーヤン選手は彼女とは反対のタイプで、上半身の動きにジュニアっぽさが残っていて、表情が乏しいのでPCSが伸びないけれど、足元を見るとスケーティングの質はいいし、彼より高いPCSをもらっている一部の選手より繋ぎも片足滑走も多いと。
<エリザヴェータ・トゥクタミシェワEX>
M:今シーズン、最もリクエストの多いエキシを見よう
エリザヴェータは羽目を外すことにしたからね
いずれにしても彼女のフリーはスーパープログラムだった。
現在の彼女の最高レベルを披露した。
今後、彼女より高得点を握る選手達に迫るために、3アクセルをもう1本入れてくるかどうか見てみよう。
A:彼女の握っている唯一の勝ちカードはフリーの2本目の3アクセルだ
彼女はあらゆる点で限度を超えた
これは「スキャンダル」と定義出来るエキシナンバーだ
今シーズン、このエキシは物議を醸しだしたけれど、いずれにしても今、この瞬間のトゥクタミシェワは彼女のキャリアで最高のレベルに到達している
M:この大会で僕が衝撃を受けたことが何か分かる?
彼女が女子選手の中で最年長だということだ
僕達はまだ思春期だった彼女がグランプリデビュー戦、確かスケートカナダで優勝するのを見た。
でも今や競争力を失った同年代の選手達と違って彼女はまだここにいる
勿論、困難な時期もあった
A:でも彼女はそれを何度でも乗り越えた
M:彼女はフィギュアスケート界の真の不死鳥だ
☆リーザのこのエキシ、スケカナで初披露された時は衝撃的過ぎたのか二人共無言になっていました。
アンジェロさんは「僕達はこういうのに慣れていないから・・・何とコメントしたらいいのか分からない・・・一種のストリップショーを見せられた」と困惑しきっていましたw
この直後、まさかリーザが肺炎を発症するなんて・・・😭
ユーロに選ばれなかったのは残念だけれど、ワールド代表のチャンスはあるので是非勝ち取って欲しい。
<アリーナ・ザギトワEX>
M:彼女はほとんど前例のないことをやろうとしている
つまり五輪女王がキャリアを続行するということだ
なぜ「ほとんど」と言ったのか?
それはキムヨナもオリンピック金メダルの翌シーズンも試合に出場したが、グランプリ大会には参戦しなかったからだ。
A:他のカテゴリーや他の競技ではオリンピックチャンピオンがキャリアを続行するケースは見られるけれど、女子シングルで金メダリストがキャリアを続行するのを見るのは難しい
M:最近ではバーチュ/モイア、ボロソジャル/トランコフも金メダルの後、キャリアを続行し、五輪の翌シーズンではなく、その次のシーズンに復帰したけれど、長くは続かなかった。
A:言うまでもなく羽生がいる
M:羽生、そしてプルシェンコ
でも女子シングルでは・・・
A:女子シングルではごく稀だ
そしてザギトワには目標があるはずだ
彼女が持っていない最後のタイトル、世界選手権で優勝することだ
M:今シーズンの世界選手権はどこで開催される?
A:日本だ(笑)
目標を達成するのは困難だろうね
M:簡単ではないね
A:むしろその逆だ
彼女の最大のライバルは日本人なのだから
<紀平梨花ちゃんEX>
M:紀平梨花はソチ五輪以降続いていたロシア選手によるグランプリファイナル連勝をストップした。最初がトゥクタミシュワ、メドヴェデワが二連覇、最後がザギトワだった。
A:紀平梨花がロシアの連勝を止めたけれど、僕達はこの紀平梨花がザギトワにとって最も危険なライバルになると前から予想していた。そしてその通りになった。
M:実質、二人は同い年だ。2か月しか違わない。
でもザギトワにはオリンピックの出場資格があったけれど、紀平にはなかった
A:今シーズン、急成長した
M:目覚ましい進化だ。
メンタルおいて先シーズンとは別の選手だ。
A:そして、ここでそれを証明して見せた。
フリーでは最初の3アクセルが両足着氷で手を付く最悪のスタートになったけれど、すぐに立て直し、そこからは二度と後戻りしなかった。
☆マッシミリアーノさん達は梨花ちゃんの3アクセルについて、驚異的な成功率で、女子では伊藤みどりさんさえも上回る史上最高のクオリティだと。
過去に3アクセルを跳んだ選手達は長い助走を必要としていたのに対し、梨花ちゃんは振付を台無しにせずに、プログラムの流れの中で3アクセルを跳ぶことが出来る史上初にして唯一の女子選手だそうです!
<ネイサン・チェンEX>A:ネイサン・チェンは男子シングルのトップに君臨する選手であることを見せつつある。
ただし、この大会では羽生結弦というナンバーワンになるはずの人物が競技出来なかった。
M:彼がショート、フリー、トータルの世界最高得点保持者のままだ
A:ネイサン・チェンは四年後のオリンピックの優勝候補になっていくだろうね。
羽生が(笑)・・・後4年続けてくれるか疑問だから・・・
いや・・・絶対にないとは言い切れない・・・そうだろう?
でも・・・期待するのは難しいよね・・・
M:3個目のオリンピック金メダルを手に入れると言う偉業に・・・羽生が興味を持つかもしれない
どうなるか見ていこう、見ていこう・・・
過去に3連覇を成し遂げた選手はいる
男子ではスウェーデンのギリス・グラフストロームが3連覇している
A:フィギュアスケートの先史時代に遡らなければならない
M:ネイサン・チェンは現在の男子シングルでクオリティと言う点において最高の4フリップを持つ選手であることを証明した
A:彼は「フリップ」を跳んでいる
つまり、ちゃんとトゥを突いて跳ぶ教本通りのトゥジャンプだ。
今シーズン、彼の4フリップに何度か「!」が付いたけれど、僕はこの判定に同意出来ない。
僕は彼はフリップもルッツも正しいエッジで跳ぶことが出来る選手だと思っている。
☆他の選手では演技中は沈黙し、演技が終わってから色々コメントしていたのに、ネイサンの演技中に延々と羽生君に想いを馳せるアンジェロさん達・・・・
「羽生は後4年は続けてくれないよね」と言った後で「いや、ないとは言い切れない」と自分に言い聞かせるように打ち消すアンジェロさんの口調が切ない・・・
お二人共、羽生君が大好きで、ずっと演技を見ていたいという気持ちが痛いほど使わってきます・・・
<トゥジャンプのエッジジャンプ化を憂う>
A:スローで見てみよう
・・・踏切は衝撃的だ
驚異的な踏切だ。
こんな風に見直すと1回転足りていない
M:プレロテだし、いずれにしてもブレードでしっかりアシストしながら跳んでいる
「Full」(フルブレード)と定義していいかどうか分からないけれど
というのはこの点においては議論の余地があるからだ
でも本来の技術からは程遠い
A:顕著だね(苦笑)
FullかFullでないかは別の問題だ。
要はトゥを突いているか突いていないか
M:でも残念ながら今では至る処でこの技術を教えている。
正直言って、どうやったら後戻り出来るのか分からない
だからと言って、これが正しいというわけではない
僕の質問は、どうしたらこの風潮に歯止めをかけられるのか?
A:・・・・・・興味深い質問だけれど(笑)
M:勿論、僕には答えがある
A:当然だ。減点対象にすることだ
M:評価の仕方を変え、新ルールを異なる方法で、つまりより厳格に適用する
A:より正確に、より厳密に
M:新ルールでは幾つかの観点においてこの跳び方にペナルティを与えることが出来るはずだ。
ただし残念ながらプレロテは対象にならないけれど
A:これはこうしたトゥジャンプの本来そうあるべき正しい跳び方とは別の技術だ。
トゥを突かなくなったら、それはもはやトゥジャンプではない
リアルタイムでは回転速度が速くて分からないけれど、スローで見ると・・・衝撃的だ
M:ブレードでアシストしている時間の方が長いのが分かる
☆今シーズン、何度か議論されているテーマです。
羽生君は全く関係ないので訳していませんがエレナさんが英訳字幕付き動画を投稿しています。