器械体操専門チャンネルGinnasticomaniaで放送されたマッシミリアーノさんの最新インタビューです。
非常に長いのでとりあえず男子の部分だけ抜粋しました。
☆マッシミリアーノさんが番組制作者から転載許可を取って下さり、エレナさんが日本用にDailymotionに動画を上げて下さいました!Grazie mille!💛
*他のメディアへの転載はご遠慮下さい。
Ginnasticomania:キアーラ・サーニが世界フィギュアについてマッシミリアーノ・アンベージに聞く
出演者
キアーラ・サーニ(C)-女優/アナウンサー
マッシミリアーノ・アンベージ(M)-ユーロスポーツ解説者/ウィンタースポーツ専門アナリスト/ジャーナリスト
C:私達は最高のスポークマン、特にフィギュアスケートに精通した最高のスポークマンであるマッシミリアーノ・アンベージと共にミラノのドゥオーモを見晴らすテラッツァ・マルティーニにいます。
皆さんもご存じの通り彼はユーロスポーツの経験豊かな解説者であり、勿論、あらゆる全てのウィンタースポーツの熟練したアナリスト/ジャーナリストですが、今日は数日前に日本で閉幕したばかりのフィギュアスケート世界選手権の話をしたいと思います。
それではあなたの意見を自由にぶちまけて下さい。
M:難しい質問だね。
全体的に多くの試合でもっと期待していたと言うことが出来るけれど、最終的にどの試合の勝者も優勝に相応しかった。
アイスダンスは簡単に予測出来た。
ペアでは水晶のような才能を持つ若い2人、スイ/ハンが優勝した。
女子では現オリンピックチャンピオンのアリーナ・ザギトワが優勝した。相応しい勝利だった。
男子では2本のプログラムをノーミスで揃えたアメリカのネイサン・チェンが優勝した。
勝敗を分けたのはミスの有無だった。
C:そうですね。
でもあなたは与えられた得点、採点と言う点についてはどう思いましたか?
全てに同意していますか?
それとも異なる方法で採点されるべきだったと思いますか?
M:いや、多くの点において同意出来ない
もはや演技構成点というコンセプトの価値は著しく低下している
僕の見方ではルールが定める掟を無視して採点されており、結果的にプログラムで着氷した4回転ジャンプの数に比例して盲目的に高得点が与えられている。
3本または4本の4回転ジャンプを実施したからといって、仮にこれらが全て綺麗に決まったとしても、演技構成点で87点を与えても良いということにはならない。
何故ならフィギュアスケートの幾つかの観点において優れている選手達は幾つかの項目でより高得点をもらうべきだからだ。
C:この競技が半分芸術、半分アクロバットのスポーツだからですか?
M:そういう言い方は好きじゃないね。
フィギュアスケートは多くの側面を網羅したスポーツで、トップになるには、全ての側面において最高レベルに達していなければならない。
そしてその選手がリンクで実施している内容が正確に評価されなければならない。
僕は男子シングル表彰台の3位に入った選手が演技構成点で平均8.6~8.7点を獲得するというのはあり得ないと思う。何故ならその得点に相応しい必要条件を満たしていないからだ。
もしこの選手に8.6点を与えるなら他の選手には11.6点を与えなければならない。
でも演技構成点の各項目は10点満点で、男子フリープログラムの満点は100点だ。
では演技構成点の5項目で総合的に劣っている選手が87点を獲得するなら、いわゆるISU用語で「Outstanding」と定義される選手は何点もらうべきか?
(ここで羽生君の映像w)
130点が与えられるべきだ
つまり僕が批判したいのはここなんだ。
もしネイサン・チェン、または彼と同タイプの選手が全ての要素を完璧に実施した場合、技術点130点に達するフリープログラムを滑るなら、演技構成点のExcellence、すなわちスケーティングスキル、トランジション、音楽の解釈、コンポジションを全て兼ね備えた選手がPCSで同じように130点に達することが出来ないのは何故なのか誰か僕に説明して欲しい。
C:正論ですね
M:僕は採点システムの辻褄が合わなくなってきていることを理解すべきだと思う。
もし2つの得点の均衡を目指しているのならね。
そうではないのなら仕方がないけれど
でもそれならそうで、技術点と演技構成点の比重は6:4であるとはっきり書くべきだ。
そうすれば皆納得し、文句を言う人はいなくなるだろう。
でももし2つの得点の間に均衡があるべきだと言うのなら、現在2つの得点の間に均衡は存在しない。
何故なら僕が演技構成点の5項目全てにおいて現在最高と見なしている羽生結弦のような選手は、130点満点のPCSで124~125点以上の得点を獲得すべきだからだ。
これがコンセプトだ
C:当然ですね
M:演技構成点の係数を変更するというのが最善策かどうか僕には分からない。でも何らかの解決策を見つけるべきだ。
そうでないと世界選手権の度にこのような苦情が後を絶たない。
僕達は特定の選手達への見当違いな得点に対する批判を読み続けることになるだろうし、実際に僕達はこのような批判を幾つも読んだ。
だから僕にとってはこれが焦点だ
何らかの措置が求められている
C:何らかの変更が行われそうな気配はありますか?
M:実際には昨年4月に各エレメントの得点が変更され、基礎点が下がった。
OK、これも有りだろう
でも今、演技構成点の係数を変更する必要性があると思う。
女子シングルでも同じだ
もし紀平梨花が技術点で最高55点に達するショートプログラムを滑ることが出来るなら、何故カロリーナ・コストナーや彼女と同タイプの選手は演技構成点で55点に達することが出来ないのか?
問題はここなんだ。
現在の満点は40点だ。
40点と55点では世界一つ分の差がある。
注意してもらいたいけれど、これで結果が変わるとは限らない。
そんな保証はない。
でも2つの得点の比重を同じにすることで、クオリティを褒賞し、全てにおいてコンプリートな選手を褒賞し、本物のコンプリートパッケージに高い評価を与えることが出来る。
僕はこれがフィギュアスケートの進むべき方向だと思う。
こういう意味での決定的なルール改正が行われないことに僕はむしろ唖然としている。
いずれにしても僕達が鑑賞できる規格外の選手は変わらない。
ユヅルのような選手は得点を超越している。
そして今、ネイサン・チェンに勝つために110パーセントのコンディションを取り戻すという膨大なモチベーションが漲っていることは間違いない。
が、しかし
世界選手権でネイサン・チェンが羽生結弦と1点しか違わない演技構成点をもらうというのはあり得ない。
何故ならその差は明白だからだ。
C:当然です
M:もし羽生結弦が9.6点なら、ネイサン・チェンは9点に達するべきではない。
9点を超えるべきではない。なぜならそれが実力だからだ
スケーティングスキル、分かり易く言うとスケーティングの質について話したい?
比べたらどうなると思う?
あるいはトランジションについて話す?
確かに羽生のプログラム後半は彼が過去に滑っていたプログラムほど複雑ではないかもしれない。
でも僕達は次元の異なる2つの世界について話している。
Interpretation(音楽の解釈)について話そうか。
C:別の惑星ですね
M:より主観が入る項目だよね。
試合を見ていた君が言ってよ
どちらが良かったか
C:ユヅル(笑)
M:ネイサン・チェンか羽生結弦か?
C:断然ユヅル(笑)
M:Composition(構成)という項目について
どんな風に評価したい?
C:あなたが最高のエキスパートだから
M:この項目に関しては様々な細かい側面を評価しなければならない
リンクカバー率、プログラムがどのように構築されているか
いずれにしても羽生のパッケージの方がよりコンプリートだと思う。
そして一番評価が難しい最後の項目、Performanceには無数の要素が含まれている。
でもこの点についても・・・僕の意見では・・・
C:基準が曖昧な項目ですね。
ほとんど主観的な項目です。
M:解釈が難しい項目だ
他の4項目とは独立して評価されるべきなのか?
それとも他の4項目を総合して評価されるべきなのか
でも、いずれにしても全体的にネイサン・チェンは羽生に比べて何か足りない。
そしてこの何かがたった1点差というのはあり得ない。
以上を述べた上でネイサン・チェンの優勝は妥当だった。
何故ならノーミスのプログラムを2本揃えたからだ
羽生は2本のジャンプでミスをした。
4サルコウがショートプログラムではゼロになり、フリーでも4サルコウで本来の得点を稼ぐことが出来なかった。
だから誰も結果については文句を言っていない。
C:万全なコンディションじゃなかったから
M:勿論だ
羽生はおそらく80パーセントほどのコンディションだったのだろう
しかし、僕は問題だと思うことは、演技構成点がこのように大安売りされていることだ。
演技構成点が誰に対しても平均化され、ほとんど差がなくなってきている。
君はリンクで違いを見る
選手達はそれぞれ異なるものを伝達し、感情移入させる能力のある選手とそうでない選手がいる。
そして得点を見て・・・理解に苦しむ
C:その通りです
M:これは問題だ。
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☆女子では色々な選手の話をしていますが、男子はほぼ羽生君の話だけw
女子も一緒に訳そうと思っていましたが、男子だけであまりにも長かったのでやめました。
マッシミリアーノさん、久々に試合で羽生君を見て、魂のOriginを見て感情が爆発したんでしょう・・・
ツイッターでもこんな熱いツイートを
In the last 21 international competitions in which he competed #YuzuruHanyu‘s worst result is the third place in the 2017 WTT. For the rest, when he didn’t win he finished second. Not to forget, 21 podiums in a row (12 victories) and it’s not over yet. #Goat without ifs and buts pic.twitter.com/Wi0JQ2IKRt
— Massimiliano Ambesi (@max_ambesi) 2019年4月11日
羽生結弦が出場した過去21回の国際試合において、1番悪かったのが2017年世界国別対抗戦での3位。それ以外は優勝か2位だった。21回連続で表彰台(優勝12回)に上がっていることも忘れてはならない、そしてまだ終わりではない。言い訳をしないGOAT(史上最高)