書店を経営するライター、マルティーナ・フランマルティーノさんのブログから。
JSF公式ツイッターで公開された振付動画のプログラムをひとつずつ振り返るシリーズ、訳す順番がメチャクチャですが、前記事からショパン繋がりで
マルティーナ・フランマルティーノ著
3月18日
最高のショパンの演技をどうしたら選べますか?
バラード第1番は羽生結弦が何度も演じたプログラムであり、パリの散歩道と共に世界最高得点を最も多く獲得したプログラムです。
ショパンとパリの散歩道がオリンピックで披露された2つのショートプログラムなのはおそらく偶然ではないでしょう。
フィギュアスケート羽生結弦選手の動画2本目をお届けいたします。#SkateForward明るい未来へ #フィギュアスケート #羽生結弦 #YuzuruHANYU pic.twitter.com/oDvYWZOSBn
— 公益財団法人日本スケート連盟 (@skatingjapan) May 6, 2020
いずれにしても彼は部屋の角で15秒間静止していることを楽しんでいたに違いありません。
私達が全員固唾を呑んで見守り、彼のゆっくりとした頭の動きを評価し、それ以上何も求めないことを知っていたでしょうから。
これだけで十分でした。
完璧。
結弦はただそのままで完璧なのです。
4シーズン(ただし、全ての試合に出場出来たシーズンはほとんどありませんでした)にまたがって15回披露されたショパンの演技。
シーズンI 2014-2015: 中国杯 (ショート2位、総合2位)、NHK杯(ショート5位、総合4位、0.15点差でファイナル進出が決まりました)、 グランプリファイナル(ショート1位、総合1位)、 全日本選手権 (ショート1位、総合1位)、世界選手権(ショート1位、総合2位)、国別対抗戦 (ショート1位で日本チーム3位)。
シーズンII 2015-2016: オータムクラシックインターナショナル(ショート1位、総合1位)、スケートカナダ (ショート6位、総合2位)、NHK杯(ショートは世界最高得点で1位、更に2つの記録を叩き出して総合1位)、グランプリファイナル(ショートは世界最高得点で1位、更に2つの記録を叩き出して総合1位)、 全日本選手権(ショート1位、総合1位)、世界選手権(ショート1位、総合2位)
シーズンIII 2017-2018: オータムクラシック(ショート1位、総合2位)、ロステレコム杯(ショート2位、総合2位)、オリンピック(ショート1位、総合1位)。
シーズン IV 2019-2020: 四大陸選手権(別のプログラムで開始したシーズンですが、この試合でショパンに戻し、19回目の世界最高得点を叩き出し、ショートプログラムでも総合でも1位でした)。
最後の演技は彼が新型コロナのパンデミック宣言前に出場した最後の試合、四大陸世界選手権でした。
奇跡のように素晴らしい演技でしたが、ここでも最も重要な大会だったオリンピックの演技動画を貼ります。
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☆個人的にショパンは好きな作曲家トップ3に入るほど好きで、中でもバラード第1番は彼の作品の中で最も好きな曲でしたから、ソチ五輪の翌シーズン、羽生君の新しいショートプログラムの曲が発表された時は、まさにこんな心境でした。
最初にプログラムを見た時、まず冒頭のイーグルサンド3Aに目を奪われました!
これまでもよくイーグルから3アクセルを跳んでましたが、出もイーグルにして「サンド」してしまうなんて!😲(その後、イーグルサンドは羽生君のショート冒頭ジャンプのデフォルトになりました)
こういうことを思いつくのが凄いですね!
SEIMEIの3A-eu-3Sの入り、ツイヅルサンド、バックカウンターなどなど・・・あらゆるステップや振付要素で高難度ジャンプを装飾してしまう彼の独創性とセンス、そしてこのように難しい跳び方でもマンマ達曰く「まるで一杯のカップチーノ☕を飲むように」簡単に美しく実施してしまう技術には毎回感嘆させられます。
構成の異なる様々なバージョンが存在し、最初の構成3A/4T 3Lz-3Tバージョンは最後のルッツコンボが中々決まらず苦戦するも、クワド2本に構成を上げた途端、なぜか鉄板になった不思議なプログラムです。
それからは滑る度に世界最高得点を更新する記録量産プロになりました。
どの演技も素晴らしいですが、私にとって最も印象的だったのは、負傷後ぶっつけ本番の五輪で圧倒的な演技を見せた平昌五輪版、そして現地で見ることが出来たバルセロナGPF版でしょうか。
「極致」に達したのは最初の1秒から最後の1秒まで文字通り「完璧」だった2020年四大陸版でしょう。
マルティーナさんの別の記事「羽生結弦: ショパンのバラード第1番」にはこれまでに披露されたショパンのバラード1番の全ての演技動画がリンクされています。是非マルティーナさんのブログからご覧下さい:
Yuzuru Hanyu: Chopin Ballade No. 1