イタリア・ユロスポのNHK杯ダイジェストから
ネイサン・チェン選手の演技解説です
実況:マッシミリアーノ・アンベージ
解説:アンジェロ・ドルフィーニ
☆翻訳は抜粋・一部要約です
マ:次はネイサン・チャンだ
彼のプログラムは技術的難度とリスクという意味では羽生からそれほど遠くはない。
もしかしたら更にリスキーなプログラムかもしれない。
羽生との違いはあらゆるディテールへの配慮とスケーティングのクオリティだ
ア:彼にとっては難度を下げた構成だ。
ルッツでは最近苦戦している。ショートでも決まらなかった。
史上、3人しか成功させていないジャンプだ
4フリップを跳ぶのは彼の他には宇野だけだが、ネイサンのジャンプの方がクオリティが高い。
しかも彼は4F/3Tのコンビネーションにして跳ぶ
マ:問題なのは彼がリカバリーでこのコンボを跳んだということだ
ア:本当は4ルッツ/3トゥループを入れる予定だった。
3つ目の4回転ジャンプ、トゥループはステップアウト
見て分かるように、身体の動きやトランジション、ジャンプまでの助走は羽生に比べてかなりシンプルだ
4Tのステップアウトの後、4T/2Tはきちんと決めた。
非常にガッツのある選手。
それに羽生に比べたら簡単な振付だけど、僕の見方では彼に似たスペックを持つジン・ボーヤンのような選手に比べると表現面やスケーティングスキルにおいてかなりリードしている。まだ得点にはそれほど反映されていないけれど
でも少しずつ得点に反映されてきている。今回は演技構成点で興味深い得点を獲得した
非常に高難度な構成だから、確かにプログラムの随所に空っぽな部分があったにしてもこの得点は相応しかったと僕は思う。
彼のアキレス腱、3アクセル。
4サルコウの代わりにこのジャンプを入れてまずまずの出来だった。
勿論、羽生やフェルナンデスやテンのようなクオリティではないけれど
4サルコウ>3アクセルを予定していたけれど、3アクセル>3ループに構成を変更した
彼にとって3フリップは簡単なジャンプ。3Tとのコンビネーション
最後の3ルッツは完璧ではなかった
でも忘れないでもらいたいことは、このような高難度プログラムは通常、体力とエネルギーを激しく消耗する。
だからプログラムの最後に3ルッツといういずれにしても高難度のジャンプを跳ぶことはとても難しいことなのだ
だから羽生がやっていることは驚異的なことだ
規格外・・・それもちょっとやそっとじゃない
彼がプログラム後半に跳ぶ2本の3アクセルのコンビネーション、しかもあのクオリティで決めることは尋常なことじゃないんだ
いずれにしてもネイサンはファイナルに向かって滑っていた。そして重要な結果をもたらしたと言うべきだろう。ファイナル出場権を手に入れたし、それに相応しかった。
マ:しかもアメリカ国内におけるトータルスコアの歴代最高得点を獲得した。
ア:小数点差でジェーソン・ブラウンが保持していた国内記録を上回った。
つまりジェーソン・ブラウンにとってはこの大会はダブルパンチだったわけだね。
ファイナル出場を逃し、記録も上書きされた
マ:クワド4本にトリプル6本、これは既に僕達が見たことのあるプログラムだ
でもその内の8本がトゥジャンプというのは僕が覚えている限り見たことがない
ア:確かに中々お目にかかれない構成だね
4ルッツ、3ルッツ、4フリップ、3ルッツ、2本の4トゥループ
しかもルッツもフリップも正しいエッジから跳んでいる
ネイサンは恐るべきポテンシャルを持つ選手だ
それにまだ粗削りとはいえ、表現面も悪くない。
まだ若いしPCS84点は高得点だ
マ:(ファイナルは)羽生にとってはまたしても歴史とのアポイントメントだ。
これまでにファイナルで4度優勝したのはプルシェンコだけ
でも羽生は4年連続で優勝する恐れがある
ア:恐るべき選手
羽生は300点越えを達成した。フリーで200点を超えなかったけれど、力を見せつける演技をした
マ:これまでの結果を分析して面白いことが分かった。
ファイナルに出場する6人の選手はグランプリ大会で獲得した得点の合計においても上位の6人だ。
つまりより安定した力を持つ選手達がマルセイユに行く。
ファイナルを逃した要人、ジン・ボーヤンはグランプリ大会のポイントにおいて7位だったけれど、合計得点でも7位だった
ア:そうか・・・じゃあ(ボーヤンが出られないことを)そんなに愚痴るべきではないね。
事実を言えばアダム・リッポンのファイナル出場は相応しかったんだろうね。だってクリーンな4トゥループと興味深い振付のプログラムを披露したわけだから
マ:アメリカの選手がファイナルに出場するのは2011年以来だ
2人の選手が出場するのは2000年以来だ。この年のファイナルにはイヴァン・ライサチェクとジョニー・ウィアーが出場し、ライサチェクが優勝、ジョニー・ウィアーは3位表彰台だったと思う
ア:アメリカにとっては意義ある大会だったね。でもクオリティの高い演技を披露したからファイナル出場に相応しかった
マ:でも(この大会は)まだほんの小手調べだ
マルセイユではきっと驚異的なことが僕達を待ち受けていると思う
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☆ネイサン選手の演技中にネイサン選手を褒めつつも、さりげなく羽生君の凄さを力説するアンジェロさんGood Job!
ネイサン選手は昨シーズンのマイケル・ジャクソンのSPを見た時も思ったんですけれど、粗削りだけれど、演技が派手でアピール力がある選手ですね。
クワド5本のバージョンは、はっきり言ってジャンプだけで振付はスカスカな印象でしかたが、今回はプログラムとしても見ごたえがありました。
いずれにしてもボーヤン選手がファイナルに出られなくてガッカリしていたので、ネイサン・チェン選手の出場が決まって嬉しいです!