ポッドキャスト第4回
今回のテーマは以下の通り
- ジュニア・グランプリ大会終了。ファイナル展望
- マッテオ・リッツォのエーニャ大会優勝の重み
- グランプリ大会がモスクワで開幕。いきなり大物2人、羽生結弦とエフゲニア・メドベデワが登場
- 視聴者からの質問コーナー
今週は非常に忙しく、あまり時間がないので3)から羽生君部分だけを大急ぎで訳します。
(翻訳は一部抜粋です)
出演
司会:アレッサンドロ・ジュヌツィオ
マッシミリアーノ・アンベージ(M)(伊ユロスポ実況/ジャーナリスト)
アンジェロ・ドルフィーニ(A)(テクニカルスペシャリスト/元イタリア男子シングル・ナショナルチャンピオン/伊ユロスポ解説/コーチ)
M:今シーズンのグランプリシリーズはモスクワ開催のロステレコム杯で開幕する。
この大会ではいきなり世界チャンピオン2人が登場する
ホスト国の選手、モスクワ生まれ、モスクワ育ちで練習拠点もモスクワと生粋のモスクワっ子のエフゲニア・メドヴェデワ
そして羽生結弦
彼もロシアとは所縁の深い選手だ
それに僕の記憶が正しければ彼のキャリア初のグランプリ大会優勝はこのロステレコム大会だった。だからロシアとは相性がいい。
この時、彼がファイナルに進出するには優勝しかなかった。そして彼は自己ベストを更新して優勝した。まだ小さかった羽生、ベイビーハニューだ
ロミオとジュリエットを滑った
クレイグ・アームストロング作曲の現代版
全てのスケートファンの心に刻み込まれたプログラムだ。
だからこの大会で注目を集めるのは彼ら2人だ。
羽生に関しては面白い統計がある。
ファイナルは四連勝
これ以上の記録を持つのはデーヴィス/ホワイト組だけだ
でもグランプリ大会で彼が何勝したか知ってる?
A:少しだろう(笑)
四勝だ
M:これは非常に奇妙な傾向だ
モスクワではどんな羽生を見れると思う?
A:予想は難しいね
これまで見た感じでは、ショートは既に仕上がっていることを披露した。
それどころかショートプログラムでは新しい世界最高得点を記録した。
フリーは・・・ほんの少しだけれどまだ作業中で、戦略が完全に決まっていないような気がする。勿論、オータムクラシックのショート構成も最終バージョンではなかったけれど
でも彼の選択肢は正しかったと僕は思う
今後どうなっていくか見て行こう
僕はフリーに関しては、今大会はまだ調整段階じゃないかと思う。
ショートはもし調子が良ければ、勿論、彼だって時々ミスすることはあるけれど、本当に皆が追いかける選手だと思う。
M:興味深い統計によれば、羽生が優勝したグランプリ大会は全部最終戦の第6戦なんだ。
ニースのロミジュリのシーズンだった2011/2012年シーズンのロステレコム杯、あとは全部、日本開催の最終戦だった。
ショートはオータムクラシックとは違う構成、つまり振付要素からのソロジャンプにサルコウではなくループを跳ぶ
ステップからのジャンプから振付要素からのジャンプに定義が変更されたけれど、具体的にどう変わったのかな?
A:より広義になった。ルールでは「ステップから直ちに跳ぶジャンプ」と定義されていた。
つまり、助走がほとんど分からない入り方、今では多くの選手がGOEを上げるためにフリーでもこういう跳び方をしているけれど
ステップから振付要素にコンセプトが広がったことで、イーグルやスパイラルからでも良くなった。勿論、ジャンプの直前に入れなければならないけれど
そしてこのようなパッセージをステップと組み合わせることもできる
例えば羽生はしばしばイーグルから更にステップを入れ、4ループ、または4サルコウを跳んでいる。
M:振付要素からのジャンプと言えば(女子ジュニアの)アレーナ・コストルナイアが頭に浮かぶ。この小さな少女は非常に複雑なトランジションから3ルッツを跳んでいる。
笑ってしまうのは単なる振付要素やステップでは片づけられない非常に複雑なトランジションから跳ぶ選手がいるということだ。
羽生結弦とコストルナイアがまさにそれだ
A:疑う余地はないね。
M:しかもジャンプの後にも何か付けている
A:(笑)全くだ
4ループまたは4サルコウの後にもイーグルを付けて、アウトエッジからインエッジにチェンジエッジまでしている、フィギュア要素の多彩さ、そしてこれらを自由自在に操れることを披露しながら
M:彼の歴代最高得点の秘訣は基礎点ではなくGOEなんだ。ショートプログラムのジャンプ要素が3つだと、彼のGOEは9点になる。他の選手にとってGOE9点を獲得するのは至難の業だ。
分かりやすく説明するとプラス評価のGOEが付く3アクセルをもう1本跳ぶようなものなんだ
A:分かりやすい例えだね
M:だからエレメンツのクオリティが勝敗を分けるんだ。
羽生のフィギュアスケートは各エレメントで最大の加点がもらえるように研究されている
だから非常に複雑な入り方をしている振付要素が必須のソロジャンプだけじゃない。
A:その他のジャンプでもそうだ
M:おそらく入り方が難しいのは3アクセルだろう。
A:だからこそ僕達はショートプログラムで羽生を破るのは困難だと言っているんだ
勿論、彼がミスすることだってあるし、コンビネーションで3Tがダブルになってしまったこともあった
非常にリスクの高いことに挑戦している選手だから、ミスすることもある
でもクリーンな演技で比べた場合、彼のショートプログラムは断トツに優れている。
M:羽生の体調は完全に回復したようだ
モントリオールで数週間前に開催された大会では万全な状態ではなかった。
数日前の練習では4トゥループ2本のコンビネーションを成功させたそうだし
現行のルールではあまりお勧めできない要素だけれど
でももしISUがフリーのジャンプ要素を1つ減らす決定をしたら、ひょっとしたら・・・場合によっては・・・このコンビネーションに現実味が出て来るかもしれない
羽生にはあまり必要のない要素だけれど
つまりショートの構成は冒頭に4Lo、後半に3Aと4T-3Tのコンビネーション
4Tのコンビネーションは彼にとって鉄板のジャンプになった
フリーはおそらくモントリオールの大会で披露した構成がベースになるだろう
つまり、冒頭に4ルッツ、それから4Lo
彼がこれらのジャンプをどのように実施するかを考慮しても非常に大変な構成だ。
だって彼のフィギュアスケートには長い助走や休憩は存在しないのだから
彼のは非常に体力を使うフィギュアスケートだ
このようなエレメンツをこなすにはモチベーションと自信が必要だ。そして僕達は途方もないものを目撃する恐れがある。
彼はまだ国際大会で4ルッツを成功させたことがない。
勿論、挑戦したこともないわけだけれど
もしかしたらモントリオールでは4ルッツに挑んだのかもしれない。でも身体が開いて抜けてしまった。
何が起こるか見てみよう
例えミスをしたとしても男子シングルの優勝候補は彼だ
☆この後、ネイサンとその他の出場選手に少し触れた後、女子の話になりますが、残念ながらタイムアウト
興味のある方はノーカット英訳版をどうぞ!
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☆やっぱり・・・やっぱりやるのね4ルッツ
オータムでフリーの最初のジャンプが3ルッツだった時点で、「いずれここが4ルッツになるんだろうな~」とほぼ確信していたけれど
それにしてもマッシミリアーノさんの預言の的中率!
さすがに生まれた時からファンだったと公言するだけのことはありますね
というか本当に1994年12月7日にベツレヘムの星を見たか、お告げを聞いたんじゃないかと思えるレベルの的中率(ちなみに12月7日はイタリアではミラノの守護聖人アンブロジウスの日)
で・・・4トゥループ2本のコンビネーションって何???
☆このポッドキャストの英訳チームの方がオータムクラシックに現地観戦に行ったそうなのですが、帰国後にFBで投稿したコメントがとても面白かったのでご紹介させて頂きます(ちなみに彼女はこれまで2015バルセロナGPF、ヘルシンキ世界選手権を現地観戦していて、見に行った全ての試合で世界最高得点の更新に立ち会っている強運の持ち主です)
「シーズン開始からたった24時間の間に絶頂の絶頂から毎年恒例の爆弾プログラムまで一気に突き落とす本物のジェットコースターを私達にプレゼントしてくれたユヅ
それに彼は自分のコンボ・コレクションに新技2T-lo-2Sを加え、ラッキーアイテム、カナダの銀メダルまで手に入れた。
そして表彰式では彼がどんなに素晴らしい人間かを改めて見せられて、私はまたしてもハートを射抜かれてしまったのよ」
海外のファンも“roller coaster”、ジェットコースターと形容するんですね・・・
例えばメドちゃんのファンは試合が近づいてきても心がザワザワしたりお腹が痛くなったりすることはないんだろうな~きっと心穏やかに安心して試合を見れるんだろうな~と思うことはあるけれど、このジェットコースターに一度はまってしまったら今更、観覧車に乗り換えることなんて出来ない・・・
毎回毎回スリリングでドキドキするけれど、フィギュアスケートの演技でこれほど魂が揺さぶられるような感動を私にプレゼントしてくれるのは彼だけです。
私は未だにバルセロナで見たSEIMEI、ヘルシンキで見たH&Lは「あれは夢だったんじゃないか」と思うことがあります。それほど非現実的で異次元で、まさに別の惑星に連れたような錯覚に陥るのです。