あなたは最強!

土曜日のRE_PRAYが最高だったとしたら、千秋楽のRE_PRAYは神懸っていました。

バルセロナで330点越えに立ち会い、ヘルシンキであのホープ&レガシーを目撃した時の感覚と同じです。またしても羽生結弦が壁を越え、前人未踏の次元に到達した瞬間を目撃することが出来ました。

予感はありました。
佐賀公演は素晴らしかったけれど、4回転ジャンプが思うように決まらなかったので、羽生君的にはきっと相当悔しいだろうなと思っていました。そして彼は「悔しい」の後、いつも驚異的な進化を遂げても戻ってくるのです。だから横浜でとんでもないものを見られる予感はありました。

そして土曜日の横浜公演初日、彼は期待を裏切らず、最初から最後まで圧巻でした。
圧倒され、感動で打ち震えながら、真っ先に頭を過ったのは、私はこれをもう1度見ることが出来る!ということでした。
ジュゼッペ・ヴェルディのオペラ「ドン・カルロ」の中に「呪わしき美貌」というエボリ姫の有名なアリアがあります。悔恨から苦悩、絶望と移り変わる気持ちを歌い、最後に、「私にはまだもう1日ある!ありがたい、私にはまだもう1日ある!」と高らかに歌い上げるのですが、まさにこの時の私の心境にピッタリで、長調アレグロのこの旋律が「Un dì mi resta!」という歌詞と共に脳内再生されました!😂

そして千秋楽
メディアが詰めかけ、全国の映画館でライビュー、世界中で生配信される、という考えただけで吐きそうになるようなプレッシャーがかかる状況の中、彼はやってくれました。
またしても壁を打ち砕き、自分を超えてみせたのです。

機材開放席の先着販売で死闘の末、奇跡的にゲット出来た席は注釈付きSSでした。
土曜日はロングサイドのSS最前列でリンクに近く、彼の表情まで見えましたが、今回はコーナーの最後列だったので、プロジェクションマッピングとの融合を満喫することが出来ました。

お立ち台もバッチリ見えました!


テレビカメラのクレーンがありましたが、視界を遮られることは殆どありませんでした。

全てが神懸っていました。
鶏と蛇と豚は、もはや人体の動きとは思えない域に達していました。まるで氷から生み出されるうねりや波が擬人化したような身体のしなり・・・
彼の背骨はどうなっているのでしょうか?
ゾクゾクするほど妖しく、美しい魔性の生き物

阿修羅ちゃんはGIFTで初披露され、スターズ・オン・アイスで再演されたプログラムですが、このRE_PRAYでは一皮剥けたと感じました。GIFTからダンスは完璧でしたが、RE_PRAYでは、いい感じに肩の力が抜けていて、底抜けに明るいはっちゃけた曲調と、ブラックな歌詞のギャップが見事に表現されていました。このジャンルのダンスを完全にモノにしたなと思いました。そして、天井が抜けるんじゃないかという盛り上がり!
「アンダスタン、アンダスタン~」では自然発生したコール&レスポンスで会場が一つになりました。

「破滅への使者」に入る前の6分間練習、土曜日は心臓が飛び出すんじゃないかというほど緊張しました。佐賀以来で、試合と違って公式練習がありませんから、本番まで彼の調子がどうなのか全く分からないからです。でも千秋楽は、土曜日にジャンプが絶好調なのを見ていましたから、もう少し安心して見ていられました。そして、6分間練習から既にゾーンに入っているが分かりました。ジャンプは全て軸が細く、完璧で、着氷に余裕があり、失敗しそうな気配すらありませんでした。

そして本番。何という4サルコウ!
フワッと浮き上がって、完璧に回転し、氷に吸い込まれるように着氷する彼だけの美麗なジャンプ!3アクセルは滞空時間が長くて、一瞬宙で止まったように見えました。そして私は上昇するピアノの旋律に合わせて実施されるイナバウアーと1本目の4トゥループの後、足を左右に蹴り出す振付が大好きなのです!(そして今回、蹴りが高くなっていました)

4T-3S-3Sのコンビネーションが美しく決まった瞬間、会場のボルテージは最高潮に達しました。彼がガッツポーズしたように見えました。最後のジャンプである3アクセルを根性でベスティスクワットイーグルに繋げて成功させた瞬間、大歓声と共に彼方此方から「ノーミス~!」という声が聞こえました。シンバルの大音響と共にフィニッシュ!私は思わず立ち上がってスタンディングオーベーションをしそうになりました。

鮮烈で激しかった前半に比べると、鎮魂と浄化の作用を持つ後半のプログラム。どのプログラムもこの世のものとは思われないほど美しく、神々しく、霊妙でした。
SEIMEIのコレオシークエンスは疾走する炎のようでした。
最後の一滴まで出し尽くした文字通り全身全霊の演技。

何故、人々はこれほど羽生結弦のスケートに魅せられ、高い遠征費を払っても見に行きたいと思うのか?
何故、人々はこれほど羽生結弦を愛し、彼を応援したいと思うのか?

理由はたくさんありますが、何よりも彼が常に全身全霊で命懸けだからだと私は思います。
魂を込めた演技が、見る者の魂を揺さぶるのです。
常に限界に挑戦することを好む彼は、いつでもドラマチックです。
私達はRE_PRAYで彼の創作したストーリーを見ました。彼が言うように、プレーヤーは私達で、自分達の人生や体験、心理を投影させ、様々な解釈で受け取ることの出来るストーリーです。

しかし、同時に私達は羽生結弦のドラマも見ていました。GIFTよりプログラムとプログラムの間隔が短縮された、よりタイトなタイムスケジュールで、前半の最後に競技のショートプログラムではなく、フリー仕様の超高難度プログラム(しかも今競技界で流行りの省エネプロではなく、最初から最後まで休むところのない濃密プロです)を滑るという途方もない試練を自らに課した羽生結弦のドラマを。

競技時代から、彼は観客に集団感情移入を起こさせる選手でした。そしてプロになった今、勝敗や得点のないアイスショーでも、見る者に感情移入を起こさせ、会場を一体化し、臨場感を味合わせてくれます。
正直、私は競技を引退したら、試合のような緊張感や興奮を味わうことはもうないだろうと思っていました。しかし、プロになっても、彼は容赦しませんでした。土曜日も千秋楽も、そして生配信で見た埼玉公演でも佐賀公演でも、前半は毎回、心臓が飛び出しそうなほど緊張し、6分間練習からの「破壊への使者」でその緊張は最高潮に達しました。そして成功した時の歓喜と感動!こんなスリルと興奮と感動を同時に味合わせてくれるスペクタクルが他にありますか?
羽生結弦に病みつきになる理由の一つは、これだと私は思います。

今回、最後の最後に奇跡的にチケットが取れ、私はRE_PRAYが完成した歴史的瞬間を現地で見届けることが出来ました・・・
そしてイタリアに戻るのは26日ですので、25日のディレイビューも見に行けます(飛行機のチケットを予約したのは8月ですから、予知能力があったとしか思えません!)

公演の後、囲み取材があったのですね。
今、スポニチ恒例の一問一答を読んでいますが、佐賀公演をスケカナに例えていて笑いました

【羽生結弦さん、語る(3)】「うれしさと寂しさが一緒に積もってきた」「まだまだ構成上げられる」

「恒例の」って😂
ファンが「恒例の初戦大自爆」と言っていたのを把握しているのですね
そう言えば、私もかつて「初戦大自爆はもう恒例の厄落としだと思うことにした」とブログに書いた記憶があります🤭
ユヅリーテ達は初戦の銀メダルは勝ちシーズンにするためのラッキーアイテム!と言っていました😂

インタビューを読むと、今も完全に競技者メンタルですよね!
ただし、彼の唯一のライバルは彼自身ですけれど


結弦君
昔も今も
あなたは最強!
素晴らしいアイスストーリーをありがとう!
これで心置きなくイタリアに帰れます😌(まだディレイがありますが)

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Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu