羽生君の卒業論文が早稲田大学リポジトリで公開されました。
全文ではなく一部を要約した特別寄稿という形だそうですが、まさかこんなに早く読めると思っていなかったので感無量です!!!
ありがたく、早速読ませて頂きました。
読み終わってまず思ったことが
「ああこの人はレオナルド・ダ・ヴィンチのような万能の天才なのだ」
ということ。
私は論文の内容以前にこのテーマを選んだ着眼点、発想とオリジナリティがまず素晴らしいと思います。
レオナルド・ダ・ヴィンチは、画家、彫刻家、音楽家、建築家、舞台監督、発明家、軍事技術師、解剖学者、植物学者、天文学者、地質学者、哲学者、都市プランナーなどなど、数えきれない肩書を持っていたことでも有名ですが、それは彼が常に探求心と学ぶ意欲に満ちた人物であり、並外れた才能と頭脳を持つ天才故に、知的好奇心から足を踏み入れたあらゆる領域で超一流になってしまったためです。
彼の描く人物の表情やポーズがまるでに命が宿っているように生き生きとしているのは、解剖学、光学、植物学、地質学、人相学などにおける彼の深い知識がその技法に反映されているからです。
この論文で研究されているテーマ、ジャンプの踏切りやステップの動作をデータ化し、解析し、正しい技術をより正確に数字で定義したい、人間の目では見えない部分まで測定してみたい、という彼の好奇心と探求心は、人物の表情や四肢を表面からだけでなく本質から捉えるために解剖学や人相学を研究したレオナルドの思考回路に通じるところがあるのではないでしょうか。
そしてその根底にあるのは羽生結弦の数々の名言の中で私が最も気に入っているこの言葉
「芸術とは、あきらかに、正しい技術、徹底された基礎によって裏付けされた表現力がないと、芸術として成り立たないと思っています」
だと思います。
論文は実験結果は概ね良好であり、実際の試合におけるフィージビリティも高く、もし実現出来れば採点の幾つかの項目にAI判定を導入することが可能であり、これによりジャッジの皆さんの負担を減らし、採点における誤りやバラツキを減らし、より客観的で正確な採点が可能になるという結論を示しています。
彼がどれほどこの競技を愛し、この競技の発展を願い、どれほどの覚悟でこの競技に献身し続けているのがヒシヒシと伝わってくる論文です。
論文を読んで感動したのは初めてでした。
現役中にこの論文を発表し、強国連盟の思惑によってジャッジングシステムの欠陥をワザと放置しているように見える現在のフィギュアスケート界に一石を投じた彼の勇気を讃えたいです。
現在開催中のスターズ・オン・アイスではオープニングとフィナーレの自分のパートを振付け、他の出演者達をまとめるプロデュース能力を発揮し、アイスショーを通してその多才ぶり、抜群のセンス、リーダシップを改めて見せつけていました。
プログラム曲も最近はほとんど彼のアイデアで編曲されているようですね。
本当に凄い人です。
これほど何でも出来てしまう天才で、既にあらゆるタイトルを勝ち取り、世界中に圧倒的な数のファンを持つ彼ならもっと華やかで楽な道を選ぶことも出来るのに、4アクセルを成功させるという壮大な夢を追いかけて、今も身体をアザだらけにしながら戦い続けているのです・・・
どんな映画やマンガの主人公も色褪せてしまう圧倒的な主人公属性
しかもノンフィクションです。
アメリカメディアがどんなに頑張っても羽生結弦の輝きに勝てるヒーローを人工的に生み出すのは残念ながら無理です。
あっ、つい嫌味がw
世界中のファンが読みたがっていますので、誰かが無許可で勝手に訳すのではなく、正式な英訳版が出るといいですね。
マッシミリアーノさんには是非読んでもらいたい(もうGoogle翻訳で読んでいるとは思いますが。試しにGoogleで日→伊訳してみたら技術論文なので結構読めました。文系の修辞を凝らした文章だと意味不明の訳文になってしまうところでしたが)