先日、イタリアフォーラムのラブリーさんが紹介してくれたイタリアの二大新聞のひとつ、Corriere della Sera紙の付録雑誌『STYLE MAGAZINE』に掲載された記事です。
フィギュアスケートの競技全般について解説していますが、羽生結弦選手についても触れています。
3月28日からボストンにて、運動競技が振付けとして評価されるスポーツ、フィギュアスケートの世界選手権が始まる
文:エンリコ・マリア・コルノ
幾つかの国ではフィギュアスケートはイタリアにおけるサッカーのように人気があり、ボストンで開催予定の世界選手権はオリンピックと同じぐらい注目される。
例えば日本では4つ種目(男子シングル、女子シングル、ペア、アイスダンス)から成るこの競技のトップ選手達はアイコン的存在として愛され、重要な試合はテレビで生中継され、2桁の視聴率を獲得する。
しかしながらフィギュアスケートがこれほどポピュラーでない国でも、スケーター達の偉業は人々の称賛を引き起こす。
勿論、この競技に詳しくない人には、選手達が何度跳び、何度回転しているのか数えるのは困難かもしれない。だが、振付けや技術的な動作、より運動競技的な技には感嘆させられる。何故なら、彼らは単なるダンサーではなく、あらゆる点においてアスリートだからだ。
このことは彼らが氷にどのようにスケート靴のトゥを突き、跳び上がるかを見れば、一目瞭然である。
またペアの男子選手が片手でパートナーを持ち上げ、拍子抜けするほど自然に女子選手を空中に投げる能力を見れば、これらの男性選手が並みの選手ではないことは明らかである。
そして究極の技巧で足を頭上に持ち上げて支えるビールマンスピンを実行することが出来るスーパーマン。
フィギュアスケートの4つの各種目は異なる身体能力を必要とする。
「子供の頃から始めます。4歳から始めることもあります」
アンナ・カペッリーニと共にブラチスラヴァの欧州選手権で銀メダルを獲得し、ボストンの優勝候補の一人でもあるルーカ・ラノッティはこう語る。
「成長に伴い、適性と選手としての資質に応じてシングル、ペア、アイスダンスのいずれかの種目を選びます」
特化する種目を一度選んだら、もう後戻りは出来ない。
「シングルで競技する選手は、特に上半身がより軽量になります。一方、リフトを行わなければならない選手にはがっしりとした体幹、肩、腕が必要になります」
ラノッティはこう続ける。
「僕達は、毎日ジムでバーベルを使った筋力トレーニングをフィットネスとストレッチとセットで数時間行います。
後は・・・新しい採点システムが導入されてから、アイスダンスも運動競技的要素が振付けと同じぐらい重要になりました。一つのリフトをプログラムに組み込むまでに何年もかけて準備することもあります」
ペアにとってリフトやパートナーをキャッチする能力が重要だとしたら、シングルスケーティングの競技で重要になるのは高く跳び、回転する能力だ。ここ数シーズンにおいて世界のトップに君臨する選手達が東洋人なのは偶然ではない。
彼らには情熱、献身、伝統があるが、何よりも現代のフィギュアスケートに適した身体構造に恵まれている。
日本の21歳の世界チャンピオン、羽生結弦(身長171センチ、体重53キロ)と中国の18歳のライバル選手、ジン・ボーヤン(168センチ、体重52キロ)の例が今日、このスポーツにおいて軽さ、敏捷性、柔軟性がとりわけ重要であることを物語っている。
3度世界チャンピオンのカナダのパトリック・チャンとカザキスタンのデニス・テンも東洋系で身長170センチに満たず、木の葉のように軽量である。
軽量で身長があまり高くない選手のほうが、史上初めて4回転ジャンプに挑戦した男子(1987年)であるアメリカのブライアン・ボイタノのような身長180センチの選手より氷上においてより傑出したパフォーマンスを行うことが出来る。
4回転と3回転の複数ジャンプを続けて跳ぶコンビネーションジャンプを成功させる秘訣は、他の選手より動かす体重を少なくすることである。
これらの選手達は強力な脚に加え、非常にほっそりとした腰を持ち合わせている。
腰幅と肩幅が狭いとこの競技では有利になる。
この新生フィギュアスケートのまさに理想形が羽生結弦である。
あらゆる記録を破り、彼の年齢にして既に歴史に名を刻んだ。
最近は極めて難しい入り方から跳ぶ3本の4回転ジャンプと7本の3回転ジャンプを成功させて新記録を樹立した。
フィギュアスケートのシングルでヨーロッパの名誉を守るために生き残った選手(両者とも身長175センチ以上である)は、スペインのハビエル・フェルナンデスとロシアのエフゲニー・プルシェンコだけである。
合計4個の五輪メダルを獲得し、現在33歳のプルシェンコは多くのライバル選手達の父親になり得る年齢である。
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☆ブライアン・ボイタノ選手の国籍がカナダになっていたり(さすがにこれは勝手に訂正しました)、パトリックとハビエル選手の身長(パトリックは170センチ以下、ハビエルは175センチ以上と書かれていますが、二人共羽生君とそう変わらないように見えます)とか所々不正確なところはありますが、全国紙のコリエーレ・デッラ・セーラの雑誌でフィギュアスケートが取り上げられること自体、異例のことです。
世界選手権もファイナルのような神大会なら記事にしてくれるかも
ラ・レプブリカ紙と共に要チェックです!