マッシミリアーノさんが昨日のライブ配信で羽生君についても語っていました。エレナさんがその部分を切り取ってくれましたのでご紹介したいと思います。
Grazie Elena!
M: 今日は、間違いなくスポーツ界にとって悲しい日だ。何故なら史上最高のスケーターの一人、あるいは史上最高のスケーターである羽生結弦が正式に引退したからだ。
迷いのない、非常に清々しい引退会見で、ここで取るべき結果は既に取ったので、自分の軌跡の中で何か違うものを表現したいという願望を表明した。
我々がみんな思っているように、彼もフィギュアスケートは変わってしまっていると考えている。来シーズンからルールが変わり、当事者の選手達は何がどんな風に変わるのか正確に把握していない。これは非常に心配なことだ。
羽生は様々なことを考慮して、引導を渡すことにした。彼の決断は北京オリンピック閉幕後から日本で5~6月に開催され、大成功を収めたアイスショー公演ファンタジーオンアイスまでの間に下された。
当然のことだがフィギュアスケート界にとっては巨大な損失だ。
我々は羽生のいない、そしてロシア女子もいないシーズンを迎えなければならない。
だから過去に比べて関心は激減するだろう。そして、競技のルールとそれがどのように適用されるのかを十分に理解しなければならない。これは非常に深刻な問題だ。
羽生に関しては、彼は滑り続ける。彼の歩みは続き、我々は長いアイスショー巡回公演や彼が関わる他のイベントを見ることになるだろう。
何度も言ってきたように、彼のような人材は決して逃がしてはならない。
僕はずっとまずスポーツがあって、それから選手がいると思っていた。この考えを主張するためにテレビで熱弁を振るったことも何度かある。しかし、時には自分の考えを省察しなければならないのも事実だ。
今この瞬間、まず羽生がいて、それからフィギュアスケートがあると思う。彼が動員出来る人数がそれを証明している。それだけ多くの人が彼を追いかけているか。北京オリンピック開催中もどれだけの人数を動かしたか?
彼が表彰台に上がらなかった大会だが、皆の注目を一身に浴びて続けた。人々の関心はメインリンクで行われていることではなく、彼が日中練習リンクでやっていることに集中した。
羽生はワリエワに纏わる一連の騒動さえも脇役に押しやった。(ワリエワ騒動は)おそらく有耶無耶のまま終わりにされるのだろう。この件についてはいずれ触れたいと思っている。
僕は羽生が今後のスケート界に重要な内容をもたらしてくれることを願っている。
つまり、これから行われるであろうアイスショーにおける彼の期待や目標を達成した後で、彼がこの競技に従事してくれることが必要不可欠なのだ。彼のような人物なら、そのカリスマ性とフィギュアスケート界全体から集まる尊敬によって、明確な方向性がなく、ここ数シーズン運用が迷走し、窮地に陥っているこの競技を変えられると私は信じている。
羽生については今後、テーマ別に掘り下げていくつもりだ。出版の企画もあるし、様々なことをやっていく。彼はそれだけの価値がある人物だ。マイケル・ジョーダンやマラドーナやフェルプスなど、ここ数世紀にスポーツ界が輩出した偉大なチャンピオン達がいる。羽生は彼らと肩を並べるレベルの人物なのだ。
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☆マッシさんはISUの迷走によって窮地に陥っているこの競技を羽生君に救ってもらいたいと願っているのですね。
羽生君がIOCならともかくISUとコラボレーションするかどうか、かなり疑問がありますが、マッシさんが競技としてのフィギュアスケートを心から愛していることが分かります。
私達ファンは羽生君が競技会に出ない以上、もはや沈む泥船に用はなし、とバッサリ切り捨てた人が大半なのに😅
確かにここ数年間、ルールの彼方此方をいじくり回して迷走し、明らかにルールに則っていない疑わしい採点でISUの評判は今や地に落ちていますが、羽生君プロ転向で経済面でも更に窮地に陥りそうです(プーケットでドンチャン騒ぎしている場合ではなかった)。
イタリアのユヅリーテ達は一昨日までは、アサイン発表を今か今かと待ちわびながら、トリノファイナルのための宿泊先を抑え、どのセクションの席を取るかを相談し、ヘルシンキやイギリスの宿泊先や飛行機まで調べていたのに、羽生君のプロ転向が発表された途端、会見や生出演番組の翻訳を読むのに大忙しで、もはやアサインのことなど誰も覚えていません。
で、発表されたんでしょうかアサイン?(私も知らない😅)
イタリアでもこんな調子ですから、羽生君のプロ転向で、世界中の羽生ファンが彼と共に別のステージに一斉移動したら、ISUの試合を見に行くスケートファンはどのくらい残るんでしょうか?
ちなみにファンタジーオンアイスのライビュが映画館で上映された台湾は、そのチケットが数分で売り切れるほど羽生ファンが多いようですが、マッシさんのナポリ講演動画を中国語に訳して下さった台湾のファンの方によれば、フィギュアスケート自体は台湾では全く人気がなく、羽生君一人の人気なのだそうです。おそらく中国も同じ状況でしょう。つまり、マッシさんが言うように、まず羽生結弦がいて、それからフィギュアスケートがあるのです。
当然のことながら、羽生君がいる試合と、いない試合では、観客動員数も視聴率も天と地ほどの差があります。
羽生君が出場した2019トリノグランプリの会場パラヴェーラ
昨シーズンのGPイタリア大会のパラヴェーラ。同じ会場とは思えない。
確かに上はファイナル、下はグランプリの一大会ですが、羽生君が出場すると、その一グランプリ大会もこうなるのです。
トリノファイナルには五輪女王のザギトワのファンや、コストルナヤやトゥルソワ等のロシア女子を見に来た層も特定数いましたが、今シーズンはそのロシア女子もいないのです(そのロシア女子人気もドーピングと戦争ですっかり地に落ちてしまいましたが・・・)
現在の現役選手の中に、パラヴェーラのようなキャパシティの大きな会場を埋められるほどの魅力を持つスケーターがいますか?まっ、今となってはどーでもいいことですが