毎週水曜日の「コリエーレ・デッラ・セーラ」紙に付いている女性ファッション誌「F」に連載されている作家でジャーナリストのコスタンツァ・リッツァカーザ・ドルソーニャさんのコラム「Anti.Corpi」(抗体)より
読者の相談に答える形でボディー、美容、スポーツ、ダンス、差別との闘いなどのテーマを議論するコラムです。今回は何か運動を始めたいものの、心理的抵抗によって踏切れないと悩む63歳女性を羽生結弦+内村航平の夢の対談に言及して励ましています。
筆者コスタンツァ・リッツァカーザ・ドルソーニャ
(2023年2月8日)
親愛なるコスタンツァ
私は71歳です。私は常に非常に活動的でした。ハイキング、寒中水泳、クライミング、スキー、若い頃にはフィギュアスケートもやっていました。今でもいつもサイクリングをしています。小さな山荘を所有しておるおかげで、自然の中を長時間散策することが出来ます。年齢にも拘らず、スキーも断念せず、グループで滑降したりもしています。運動は身体だけでなく精神に対しても大きな助けになります。
アデライデ(トリノ)
親愛なるコスタンツァ。私は63歳です。身体活動は何歳になっても可能であり、新たに始めることさえ出来るというあなたの理論は素晴らしいですが、私には当てはまりません。きっと常にスリムで運動をしている人にはそうかもしれませんが、ある年齢になると、身体はあなたを見捨てます。私の場合、非常に早い段階で身体に見捨てられました。私は太り、意気消沈しました。軽い体操や水中エアロビクスを試してみようと思いましたが、何よりも、おそらく心理的な抵抗があります。
A.M.
親愛なるアデライデ、親愛なるA.M、
まさに数日前、私は20年前にスケートを習い始めた日本女性が、92歳になった現在も全く止める気がないというニュースを見ました。また、女子で3アクセルを史上初めて試合で成功させた伊藤みどりは現在53歳ですが、今でもジャンプを跳び続けています。スポーツにおける年齢差別、思春期前の体型に対する常軌を逸した競争、思春期前の年齢が万人のモデルであるかのような考えを植え付けるのは、害でしかありません。
フィギュアスケートのレジェンド羽生結弦と体操のレジェンド内村航平の最近の対談はこの点に関して啓発しています。最近プロに転向した28歳の羽生は、彼史上最高のコンディションで、数カ月の間に未だかつて誰も試合で成功させたことのないコンビネーションジャンプを成功し、何万人もの観客を前に最高レベルのアイスショーを披露してプロの概念に革命をもたらしました。「年齢は固定概念だと思います」と彼はいいます。「若手に比べて僕はずっと経験があります」
彼は34歳の内村にブレットシュナイダー(体操の超高難度の技で、体操のチャンピオンはもう練習していない打ち明けていました)の練習を再開するよう説得しました。年齢を限界としてではなく、新しい、そして更に大きな挑戦のための手段として捉えるべきだと。
確かに、体調を維持することは助けになりますが、それだけではありません。私もダンスを再開する前、何年間も(控え目に言って)体調を崩していました。皆さんに抱擁を
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☆イタリアには羽生君に夢中になり、スケートを始めた、というファンが私が知っているだけでも結構います(第一号はおそらくダニエル・グラッスル君じゃないでしょうか)。その他にも彼の言葉を理解するために日本語を始めた、ずっと止めていたバレエのレッスンを再開した、中には子供に手がかからなくなったタイミングで国立大学の日本語学科を受験して合格し、日本語の学位を取得すべく、大学に通っている人までいます。
どんな逆境や試練にも立ち向かい、失敗しても怪我をしても再び立ち上がり、挑戦と進化を続ける彼の姿を見ていると、自分も頑張らなければという気持ちにさせられます。
内村君との対談は本当に興味深かったです。彼も怪我に苦しみながら挑戦し続けたアスリートでした。個人的にゾーンの話が凄く面白かったです。Notte Stellataではゾーンの共鳴が生まれるかもしれません。一体どんなパフォーマンスになるのか、全く想像出来ないんですが、凄く楽しみです。