Neveitalaより「ISUグランプリファイナル出場者を決定する最善策は何か?」

パリ同時多発テロのためにエリック・ボンパール杯が中止されたことを受けて、ファイナル出場者をどのように選考するべきか幾つかの仮説について、マッシミリアーノ・アンベージさんが考察しています。

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(2015年11月14日)

エリック・ボンパール杯のフリープログラムが実施不可能になったことを受けて、国際スケート連盟(ISU)はグランプリファイナル出場者を決定する信頼性のあるシステムを早急に見つけなればならないという極めて困難な状況に直面することになった。

問題はボルドー大会のフリーがなくなったため、1試合少なくなった選手が多数いるということだ。

唯一の前例は、出場条件が現在とは異なっていた2001年のジュニアグランプリ大会だった(当時は招待枠がなく、各国に特定の「エントリー」数が割り当てられていた)。この時は9.11の悲劇によってアメリカ大会が開催されなかったが、登録選手達は残りの6大会のいずれかに参加出来るか、各国が別の大会で失った「エントリー」枠を取り戻せるよう取り計らわれた。

現在、この問題の対処法として様々な仮説(信ぴょう性があるものとないものがある)が立てられているが、現在の状況を考察すると、不利になる選手が多くなり過ぎない解決策を見つけるために、一連の意見を分析してみなければならない。

A) ボルドー大会の出場選手を残りのグランプリ2大会に招待する
多くの選手についてビザ申請が間に合わないということと、主催委員会の予算の問題から不可能な仮説である。また残りの大会の平均レベルが過剰に上がる可能性があり、出場選手全員が不利になる。

B)ファイナルの1週間前にエリック・ボンパール杯を別の場所、または再びボルドーで開催する
コスト、施設の空き状況、国によって異なるビザ申請に要する時間などの問題によって実現不可能。

C) 122日から5日に開催されるザガブリア・ゴールデンスピン大会をグランプリ大会に転換する
上述の理由で実現は困難。ISUからの多額の資金援助が必要になる上、ISUチャレンジャーシリーズ、クロアチア大会に出場するはずだった選手達にとっては予定されていた試合が1つ少なくなる。

D) 3日(フランスでスポーツイベントが開催出来ない期間)待って、ボルドーでフリープログラムを行う
推奨する仮説だが、ビザ、飛行機、宿泊、主催側の負担費用などの問題に関連する論理的理由により困難である。また会場である施設が既に他のイベントで予約されていないか確認しなければならない。

E)エリック・ボンパール杯ショートプログラムの結果を考慮してグランプリ大会の順位を決める
この場合、ショートで出遅れた選手が不利になり過ぎる。有力選手であるエリザヴェータ・トゥクタミシェワはフリーで挽回するチャンスを奪われ、ファイナル出場の可能性が絶たれてしまう。また、同点で同順位の選手が複数出た場合、大きな問題になる。

F) 各選手が獲得したいい方の結果だけを考慮して順位を決める
この場合、全選手、あるいはほとんどの選手にとって公平になる。当然、2大会に出場したことで有利になる選手も数人いる。非常事態であることを考慮すると、理論上、これが最も納得の行くソリューションのように思われる。幾つかのオプションがある。すなわち、得点を考慮するか、順位を考慮するか、あるいはその両方を考慮した基準を見つけるかということだ。理論的には順位を考慮し、同順位の場合には得点も考慮するという方法が妥当である。

または非常事態であることを考慮してファイナル出場者を8人/8組に増やすという策もある。当然、開催費用が高くなり、運営上の理由からより困難ではあるが、選手と観客に対しての重要な歩み寄りになるだろう。

仮説F が実現可能な最善策で、試合実施の規則性をより保証出来るように思われる。

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☆ 不測の事態でこのようなことになり、不可抗力とは言え、試合に向けて苦しい練習を積んできた選手達が本当に可哀想です。

エリックのショートの結果だけを考慮した場合、

スケカナ1位、エリックSP5位のパトリックはジェーソン・ブラウン選手が2位(NHK杯)、またはアダム・リッポン選手が優勝(ロステレコム杯)しない限り、ファイナルに出場出来るようです(フォーラムのパッティナさんの考察)。ロステレコム杯にはハビエル、NHK杯には羽生君とボーヤン選手がいますので彼らが1位または2位になる可能性はかなり低く(失礼ですが)、ほぼ大丈夫ではないかと思われます。

一方、スケアメ1位でエリックSP7位のマックス・アーロン選手、スケカナ2位でエリックSP5位のリーザ・トゥクタミシェワ選手(私的にはこれが一番ショック・・・リーザのいないファイナルなんて!)はファイナル出場の可能性が完全に絶たれてしまいます。またスケカナ3位でエリックSP3位の村上大介選手のファイナル出場も絶望的になります。 村上大介選手は今シーズンにかけている感があり、好調なだけに本当に可哀想です。

ソチのペア金メダリストのマキシム・トランコフ選手とアレクセイ・ミーシンは「いずれにしても不公平になるから、この際、ファイナルを中止すべきだ」と発言しています。

ファイナル中止って・・・そんな殺生な・・・

ISUがどのように決断するか分かりませんが、費用だとか運営上の問題だとかそういうことではなく、可能な限り選手達の権利を優先した決定を下して欲しいです。

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu