Neveitaliaより「歴史的なスケートカナダでパトリック・チャンが羽生結弦を上回る」

スケカナ男子フリーのNeveitaliaの記事です。
記事を書いているのはイタリア・ユロスポ実況のマッシミリアーノ・アンベージさんです。

SC_2015FS

原文>>

(2015年11月1日)

☆ 翻訳は3位の村上大介君までです

第40回スケートカナダの男子フリーはフィギュアスケート年代記に記される名大会になった。というのもファイナルを含むグランプリ大会史上、これほど充実した試合はこれまで1度もなかった。まだシーズンが始まったばかりだということを考慮すると、今回の大会で起こった全ては、打ち上げ花火のようなシーズンの前触れのような予感がする。

レスブリッジのエンマックス・センターの観客が熱狂する中で、6人もの選手が156点以上を獲得し、技術点で80点の大台を超えた。こんなことは過去のグランプリシーズでは1度もなかったことだ。

今回の主役は母国の同大会で同国のエルヴィス・ストイコに並ぶ5度目の優勝を飾ったパトリック・チャンだった。

ショパン・メドレーに乗せて滑ったフリープログラムはクラクラするほどの美しさで、出来栄え点と演技構成点でジャッジから高い評価を得た。

「transition」と何人かのジャッジが10点を付けた演技構成点のその他の項目、そして基礎点に対して18点も高い最終的な技術点は過大評価だった。

長い休養期間にも関わらず、各エレメンツを素晴らしいクオリティで実行したカナダの一流選手は、現在最高のステップシークステップが輝きを失っていないことを見せつけた。1本の4トゥループと8本の3回転ジャンプを巧みに決め、特に彼の競技人生最高の3アクセルとプレミアムチケット並みの高得点を稼いだ4トゥループ/3トゥループのコンビネーションジャンプが際立った。

従ってグランプリシリーズではパトリック・チャンが羽生結弦を打ち負かすという興味深い傾向をまたしても証明してみせた。

6位から2位に浮上した五輪王者はスタンディングオーベーションに値する演技の作者だった。唯一の汚点は最後のエレメンツである3ルッツの転倒だけだった。

バリーのオータム・クラシックで起こったように、日本映画『陰陽師』のサウンドトラック『SEIMEI』の音楽に非常に感情移入していることが伝わってきた。羽生は曲の全ての音を正確に捉えながら、3本の4回転ジャンプと転倒したルッツを含む6本の3回転ジャンプを回り切るが、3アクセルはいつものクオリティではなかった。予定されていたジャンプ構成に対し3トゥループがなく(最初の3アクセルのコンビネーションで跳ばなかった)、2本目の4トゥループで手を付いた。

結果、チャンがショート、フリー共に羽生を上回り総合で11点以上の点差を付けた。

グランプリシリーズで記録された、パトリック・チャンがレスブリッジで獲得した271.14点より高い点は、2013年エリック・ボンパール杯で同じくオタワ出身の24歳が出した現在の世界歴代最高得点だけだ。

日本の村上大介はフリープログラムで2本の4サルコウと2本の3アクセルを含む7本の3回転ジャンプを決めたにも関わらず、ショートの首位を守ることが出来ず、前オリンピックの主役2人と当たった不運を呪いながら、表彰台の一番低い位置で満足せざるを得なかった。

 

最終結果

1) CAN – Patrick CHAN

271.14 (2|1)

2) JPN – Yuzuru HANYU

259.54 (6|2)

3) JPN – Daisuke MURAKAMI

252.25 (1|3)

4) USA – Adam RIPPON

239.69 (3|5)

5) CAN – Nam NGUYEN

238.82 (4|4)

6) RUS – Alexander PETROV

221.02 (7|7)

7) USA – Timothy DOLENSKY

219.06 (11|6) PB

8) CZE – Michal BREZINA

218.58 (5|8)

9) KOR – Jin Seo KIM

195.84 (8|10)

10) JPN – Sei KAWAHARA

195.21 (9|9) PB

11) CAN – Keegan MESSING

182.25 (10|11)

12) KOR – June Hyoung LEE

152.05 (12|12)

 

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☆ ショート自爆大会から一転してフリーは神大会になった今回のスケカナ。
ショートの後、マッシミリアーノさんがNeveitaliaのフィギュアスケートFBグループで

「僕は心配してない。200点越えをやってくれる気がする」

と書き込んでいて、他のユーザーも

「ユヅルの自爆はヨハネ福音書(日本語で言うところの『神演技フラグ』みたいな感じ)だから」

とコメントしていました。

200点は行きませんでしたけれど、クワド3本アクセル2本を着氷した圧巻の演技でした。
それにしてもなんでしょう、マッシミリアーノさんのこの絶対的信頼は!

ちなみにマッシミリアーノさんはFBで羽生君の「PCSはものすご~く抑えられていた」と書き込んでいました。

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu