Poligono 360 Liveより「ホープ&レガシー~感情の火山」

冬季競技について360°の視点からディスカッションする番組「Poligono 360 Live」Ep2より

前半はショートトラックの金メダリスト、アリアンナ・フォンターナ選手、後半は現在シャンペリーにあるスケーティングスクールのコーチを務めるお馴染み、アンジェロさんとのリモート対談になっています。

番組最後にマッシミリアーノさんが羽生君に対する熱い想いを爆発させていました。

涙無しには聴けません・・・:awww:

 

取り敢えず羽生君の部分だけ抜粋しました。

☆エレナさんが動画に字幕を入れて下さいました!
何という仕事の早さ!ありがとう!
Grazie Elena per tuo lavoro immediato!💛

<番組紹介>

ダリオ・プッポとマッシミリアーノ・アンべージがお届けする週刊コラム「Poligono 360 Live」第二回は氷の世界⛸の話題です。

前半はアリアンナ・フォンターナと共にショートトラックと新型コロナウイルスの感染拡大によって厳しい状況に置かれている今後の競技のスケジュールについて議論します。

後半はアンジェロ・ドルフィーニをゲストに迎えてフィギュアスケートの話題。

ダニエル・グラッスル、宇野昌磨、紀平梨花にフォーカスし、最近の試合に対する雑感を少し。最後は羽生結弦の話題で締め締めくくります。

 

出演

ダリオ・プッポ(D)ユロスポ解説者
マッシミリアーノ・アンベージ(M)冬季競技アナリスト/ジャーナリスト、ジャーナリスト
アンジェロ・ドルフィーニ(A)国際テクニカルスペシャリスト、コーチ、元ナショナルチャンピオン

 

D:番組の締めくくりに言いたいことがある。
僕は自分がフィギュアスケートについて何か知的なことを言えるとは思っていないけれど、

トリノオリンピックで最も記憶に残っていることと言えば・・・
僕はマッシミリアーノと一緒にパラヴェーラに行って、そこで練習しているカロリーナ・コストナーを見た。

トリノオリンピックで僕が真っ先に思い浮かべるのはその時の光景と彼女の曲だ。

そしてフィギュアスケートで、最後に僕の記憶に残ったのは、プルシェンコだった。

多くの人と同じように、僕も彼を生で見たいと思っていたけれど、チケットを入手するのは困難だった。でも最終的にアンべージが解決策を見つけてくれて、マリーナと共に実況するマッシミリアーノの横で僕は彼を見ることが出来た。
そして様々な競技の偉大なロシア人選手と同じように、あの大会のプルシェンコも僕に衝撃を与えた。

僕は最近のフィギュアスケートに関する情報を集めるために、ここ数日、フィギュアスケートについて語っているマッシミリアーノ・アンべージのFacebookのページを見に行った。

そしてあの動画に遭遇した・・・

そして当然、こう自問自答した・・・今シーズン、僕達は果たして「彼」を見ることが出来るのだろうか?と

とりわけその動画には音楽があり、2つの言葉から成るそのタイトルに僕は心を打たれた。

おそらく君達二人にとってはより大きな意味を持つ言葉だろう。

その言葉は「Hope」と「Legacy」だ。

そして、そこには彼がいて、僕のような(フィギュアスケートの)知識を持たない人間の目さえ釘付けにせずにはいられない代物をやってのけた。

 

M:いいかい・・・いいかい・・・
これは・・・重い話になるよ

あの曲は僕のプレイリストにあって、年に50回は聴いている。

そしてこの曲を聴くたびに僕はあのプログラムを脳内再生する。

 

D:勿論、羽生のことだよね

名前を言わなかったけれど、2017年のヘルシンキだ

 

M:あらゆるジャンプ、あらゆるステップ、そしてアンジェロの言葉を・・・
そしてその5分後に演技を見返したなら、アンジェロが「4サルコウ-3トゥループ、完璧!」と言うところで、僕は自動的に泣き出してしまう。

何故なら、僕達はフィギュアスケート史の頂点に達した瞬間に立ち会ったと思うからだ。

僕はあのレベルは二度と到達されることはないだろうと思う。

あのプログラムは歴史を超越している。
僕にとって・・・あれは感情の火山だ。

これは感情面の美しい方だ。

泣きそうになるし、このパフォーマンスが如何に偉大か気づかされるからだ。

一方で辛い気持ちも少しある。

10点満点を与えなかったジャッジのことを考えると・・・

あの演技は全項目10点満点に相応しかった。

全てのエレメントに当時のGOE満点である+3を与えるべきだった。

あのプログラムは「完璧」だった。

締めくくると、数週間前まではあの曲を聴くと、僕は悲しい気持ちになっていた。

なぜなら・・・分からないけれど・・・結弦はやめたがっているんじゃないか、もう滑らないんじゃないか、という気がしていたからだ。

正直・・・僕はそのようなことを受け入れる心の準備が出来ていない。

彼が引退したら壊滅的な打撃を与えるだろう。
取るに足らない存在である僕にだけでなく、フィギュアスケート界全体にも。

そして・・・数日前、振付師のジェフリー・バトルのインタビューを聴いて・・・結弦がまだ挑戦する気でいることが分かった。

年月は流れ、あらゆるタイトルを獲得しているにも拘わらず、彼はまだそこにいて、自分が支配したフィギュアスケートとは異なるフィギュアスケートに一石を投じようとしている(疑問を投げかけようとしている)。このことはこの人物の偉大さを物語っている。

僕は彼を北京で見られることを願っている。

そこで金メダルを賭けて闘う彼を見られることを願っている。

そしてもし勝ったなら・・・僕達が目にしているのは・・・僕にとってはほとんどスポーツ史上最高のアスリートだ。

勿論、異なる競技を比較することは出来ないけれど・・・僕達はまさに伝説の人物について話している。

 

A:間違いなくあらゆる時代のオリュンポス(天上界)に入場するだろう。
もし、まだ入っていなかったら、だけれど

 

M:もう入っているよ!

 

A:その通り

オリンピック二連覇は驚異的なことだ。
ヘルシンキでのパフォーマンスは途方もなかった。

だけど、フィギュアスケートは主観の占める部分が非常に多いスポーツだ。
マッシミリアーノにも語ったことだけれど、最近、(シャンペリーの学校の)僕達技術スタッフの間でフィギュアスケートについて話している内に議論、それもかなり激しい議論になった(笑)

僕とステファンは羽生派で、2017年ヘルシンキのこのパフォーマンスを推した。
ステファンもこの演技はフィギュアスケートでこれまでに到達した頂点の一つだと見なしている。

ステファンは羽生をよく知っている。というのもショーで何度も彼と滑っているし、ランビエールは日本のスケート界との繋がりも深い。

その僕達に対して、他のスタッフ、ヨハンと校長のクリストファーはネイサン・チェン寄りで、アメリカの選手の方が、何と言ったらいいのか・・・よりコミュニケーションを感じると言った。

当然、彼らは別の並外れたパフォーマンス、ネイサン・チェンの埼玉での演技でヘルシンキの羽生に対抗した。
言ってみればバーチャル試合だ。
議論はかなり白熱し、僕達は楽しんだ。

いずれにしても、このことはフィギュアスケートが主観部分の大きなスポーツであることを物語っている。

僕とマッシミリアーノは羽生の、史上最高のスケーターの試合を何度も生中継で実況する栄誉を味わうことが出来た。

でもネイサン・チェン(彼も間違いなく偉大なチャンピオンだ)や他の選手に重要な何かを見出しているファンや関係者もいる。
数字とか記録とか
マッシミリアーノ、君自身が今日言及したように(ネイサンは)アクセル以外の4回転ジャンプを全種類成功させた唯一の選手だ。

ネイサン・チェンがこれまでに実現したことは、いずれにしても彼も既に偉大なチャンピオンであることを証明している。

僕達が見てきたように近年は多くのチャンピオンがいたから、羽生は常に非常にハイレベルな挑戦をしてきた。

だから・・・この競技の「美」は間違いなくダリオが先ほど言及したパフォーマンス(ヘルシンキのHope&Legacy)の中に詰まっているけれど・・・見る人の視点によって別の何かが見えることを知り、この競技に貢献している、そして貢献してきた他の選手達を評価するのも素敵なことだ

 

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☆マッシさん・・・😭😭😭

羽生結弦がマッシさんにとって如何に特別な存在か
羽生君と彼のスケートに対する愛が如何に深いか
彼の演技を見られなくてどれほど寂しいか
彼が再びリンクに戻ってきてくれることをどれほど切望しているか

そんな想いが痛いほど伝わってきました
マッシミリアーノさんの熱い想いがどうか羽生君に届きますように・・・

 

もう何度貼ったか分からないけれど・・・
ヘルシンキのホープ&レガシー(オトン号泣版日本語字幕付き)

アンジェロさんはこの夏にシャンペリーにあるランビの学校Skating Schoolのフルタイムコーチに就任しましたので、もうポッドキャストには出演してくれないのかな、と思っていましたが、リモート出演なら国境は関係ないんですね。

美しいスイスの自然とシャレーをバックに笑顔のアンジェロさん

他にも数日前の国内大会イタリアグランプリのフリーで4回転のルッツ、フリップ、ループを着氷したダニエル・グラッスル君の話題、アンジェロさんがコーチを務めるスケーティングスクールに拠点を置いている紀平梨花ちゃんと宇野昌磨君の練習状況、ロシア杯女子の話題(スケアメは華麗にスルーw)等、興味深い話がたくさん聞けました。

後日、特に興味深かった内容を要約してご紹介したいと思います。

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu