Sportlandiaより「ジャッジ、公正性、過去」

マルティーナさんの分析シリーズ
今回はテクニカルパネルの判定に焦点を当てています。

原文>>

 

マルティーナ・フランマルティーノ著
(2021年2月16日)

全ての試合において最も重要なのは公正性です。私達は皆、いい試合を見たいと思っていますが、例え選手達が素晴らしくても、試合の公平性を監視すべき人々によって結果が歪められている場合、これはもはや試合ではなく、茶番です。もしアスリートがドーピングをした場合、資格が停止されます。その選手はルールを守りませんでしたから、当然彼の結果は剥奪され、競技会から締め出されます。しかし、もしレフェリーやジャッジがルールを守らなかったらどうなりますか?

 

1997年、イタリアの走り幅跳び選手、ジョバンニ・エヴァンジェリスティは、審判がジャンプ1本の測定値を改ざんしたため、値しない世界銅メダルを獲得しました。 2か月以上も後になって真実が明らかになり、彼は正当な勝者であるアメリカのラリー・マイリックスにメダルを返しました。

参照:ジョバンニ・エヴァンジェリスティと彼の走り幅跳びのメダル

 

2012年のオリンピックではアメリカの体操選手アリー・レイズマンは平均台決勝でルーマニアのカタリナ・ポノールに次ぐ4位でしたが、彼女のコーチであるベラ・カロリーは、レイズマンが実施した難度は完全に考慮されていなかったと抗議しました。 結果、スコアは修正され、レイズマンは銅メダルを獲得しました。 詳しい記事を見つけました:
https://text.npr.org/158364638 https://news.blogs.cnn.com/2012/08/08/when-olympic-athletes-succeed-but-judges-fail/comment-page-10/

 

公正なスポーツでは、審査に大きな問題があった場合、結果に異議を唱えることが出来ます。 では何故、ISUはそうしないのでしょう?

結果が発表された後の変更は、スポーツの信頼性を損ないますか? スポーツではオリンピックにおいても数多くの論争がありました。 多くの事案はここにリストアップされています:
オリンピックにおけるスキャンダルと論争の一覧

ISUは、例えそれで結果が変わったとしても、エレメントの誤った識別または難易度のレベルに対する抗議は許可されていない、とはっきり書いています。つまり、ミスを認めて全てのスケーターの得点を正しくするよりも、間違ったスコアをそのままにしておく方がいいのでしょうか?

 

例えば2019-2020年シーズンの大会、フランス国際を見てみましょう。

これはTP Handbook 2019-2020(テクニカルパネル・ハンドブック)の一部です:

2周した基本姿勢が一つもないスピンは無価値(No Value)になる。

基本姿勢:
シット(滑っている脚の上部が氷面と少なくとも平行になっている)

 

ツイッター上にスピンに関する非常に興味深いスレッドがありました:

スピンについて話しましょう 🙂   昨日リンクしたガンディの投稿をチェックすれば、スピンに関する彼女の分析を見ることが出来ます。例えば、彼女はフランス国際におけるチェンのフライングシットスピンを「No Value」と判断しました。何故でしょう?

 

テクニカルパネルはその前にもこのプログラムで大きなミスを犯しています。これはチェンの3アクセルの着氷です。

最初のスクリーンショットでは、チェンの足は完全に氷上にあります。2枚目では爪先だけが氷上に残っており、3枚目では再び空中にいます。彼はジャンプのコントロールを完全に失っています。その後、着氷ではなく転倒しています。最後のスクリーンショットでは、彼は氷面に付いた両手によって支えられており、腰は頭より高く、左足は完全に空中にあり、右足はこの位置で両手にかかっているより少ない体重を支えています。

これがチェンのプロトコルです:

1つのプログラムで2つの大きな判定ミスがありました。テクニカルパネルが誰か、そしてショートプログラムの結末がどうなったのか見てみましょう。

テクニカルスペシャリストである元スケーター、ヴァネッサ・グスメローリ(1997年世界選手権銅メダル)は緊急に新しいメガネを必要としています。そして私が彼女の判定に疑問を抱くのはこれは最初でも最後でもありません。テクニカルパネルには彼女の他にアメリカ人のウェンディ・エンツマンがいましたが、2つのミスがアメリカのスケーターを助けたのは偶然でしょうか? フリープログラムを考慮すると、チェンが楽々優勝したのは当然かつ妥当な結果ですが、同様にショートプログラムの勝利が妥当だったサマリンはそのささやかな歓びを失いました。何故このような採点ミスには抗議出来ないのでしょうか?その点差は4.94点です。

1人のスケーターのプログラムだけで4.94点違いがあった場合、世界選手権またはオリンピックで幾つの結果が変わったでしょうか?
私は2010-2011年シーズン以降だけに焦点を当てて調べました。

オリンピック金メダル8個の内5個を含む、132個中60個のメダルの所有者が変わりました。たった一つのショートプログラムでテクニカルパネルが実際に犯したミスで発生した点差と同じ点差で、重要な国際大会の結果がこれほど変わるのです。

この採点ミスは1大会における単独の出来事であり、他の大会の試合には関係ないので心配には及びませんか?そうとは言えません。2020-2021年は奇妙なシーズンとなり、この点については私達皆、同意しています。しかし、ISUによって4つのグランプリ大会(スケートアメリカ、中国杯、ロステレコム杯、NHK杯)があくまでも国内イベントとして2020年の秋に開催されました。 スケートアメリカのジャッジとテクニカルパネルは全員経験豊富でした。

私は最初の6人のジャッジについて、2016-2017年シーズンから2019-2020年のシーズンまでの国際大会におけるナショナルバイアスを計算しました(右の表)。 ここでバイアス値を計算する方法について説明します。ここで私にとって興味深いのは、彼ら全員が既に幾つもの大会でジャッジを務めたことがある、ということです。このリストに載っていないステファニー・マシューソンも複数の国際大会でジャッジを務めたことがありますが、当時はジャッジが匿名性だったので(あるいは彼女はテクニカルだったのかもしれません)私のリストに含まれていないだけです。また、トッド・ブロムリー、ウェンディ・エンツマン、デニス・ウィリアムソン、デビッド・サンティ(1981年世界選手権の銀メダリスト)は本当に経験豊かで、ルールを把握しており、自分達が見ているものを理解出来るはずです。従って、スピンがルールに準拠していなければ、彼らには分かったはずです。

2019年にチェンは本来、無価値であるべきスピンで3.32点を貰ったとすると、2020年には同じく無価値であるべきスピンで3.96点を与えられました。誰もジャッジに抗議出来ない採点ミスが幾つありますか?いずれにしても優勝はチェンでした。しかし、ジャッジのミスは懸念材料です。このようなミスは形はどうであれ、如何なるエレメントで起こる可能性はあり、全ての大会がこのようなミスで結果が左右されないほど選手同士の点差が大きいとは限りません。

別の大会からの別のスピンでは、逆の採点ミスがありました。2020年全日本選手権ショートプログラムでは羽生結弦の2つ目のスピンが無効になりました。

テクニカルパネルである前田真美(主要な国際的ジャッジ兼レフリー)、柴田健吾、石川郁子のミスで彼は3.22点を失いました。

スピンの詳細を見てみましょう:

こちらも

別の大会で比較するのはナンセンスですか?大会に関係なくルールはルールでなければなりません。いずれにしても、これは羽生のスピンが無効になった同じ試合、全日本選手権ショートプログラムの鍵山優真のコンビネーションです。最初のスクリーンショットで彼はフライングから着氷し、足替えし、シットポジションに達するために姿勢を低くしています。

次のスクリーンショットでは彼はほぼシットポジションですが、羽生より高い姿勢です。しかし、疑わしいケースではテクニカルパネルはスケーターに有利に判定するという原則(羽生には適用されませんが)に従って、このポジションが正しいと仮定しましょう。2段目の最初のスクリーンショットで彼は一周目を完了しています。しかし、そこから半回転後に既にシットポジションから身体を起こしています。

3番目のスクリーンショットでは、彼が上体を起こしていることがはっきりと分かります。理論上、二周目を完了しなければならない4番目のスクリーンショットでは、彼のポジションはかなり高くなっています。これはシットポジションではありませんから、彼はこのポジションで完全に2周していませんでした。羽生と鍵山のスピンの違いは、鍵山のスピンは無価値と判定されるべきでしたが、Vマークが付き、レベルが下がっただけでした。
これは鍵山優真のプロトコルです:

同じ試合における2つのプログラムでの2つの採点ミスで生まれた2人のスケーターの点差は7-8点です。羽生がショートプログラムで問題なく勝ったため、この試合において、この2つのミス(どんな試合でも起こり得るミスです)はそれほど深刻ではありませんでした。

同じ試合(全日本男子SP)における幾つかのスピン:

テクニカルパネルでも問題が発生するエレメントはスピンだけではありません。2021年2月に開催されたロシア・ジュニア選手権では、エゴール・ルキンが実施した4サルコウは、最初3サルコウとコールされていました。

この時のテクニカルコントローラーはアレクサンドル・ラケルニクでした。彼はISU技術委員会の元責任者であり、現在のISU副会長です。 私達は当然彼にはジャンプを識別出来ると考えますよね?しかし、彼はミスを犯しまた。大会終了後、プロトコルには3Sと表記されており、ルキンは4位でした。しかし、ラケルニクは自分のミスを修正し(誰が彼にミスを知らせたのかは分かりませんが、プロトコルは4Sに修正されました)、ルキンは銅メダルを獲得しました。

フィギュアスケートは、あらゆるエレメントを正しく評価するための最も正確なシステムを必要としていますが、結果の公正性を保証するために、ヒューマンエラーの被害に遭ったスケーターが、彼(および彼のライバル)が実施した内容に抗議し、認識される可能性も必要です。スコアが正しくないことを知りながら、スコアを変更することを拒否すれば、順位が変わる可能性は勿論、何よりもISU主催のスポーツの信頼性が損なわれます。 韓国スケート連盟は2014年オリンピックにおける女子シングルの結果に抗議しました。この時は苦情は容認出来ないと見なされましたが、現在起こっていることは苦情では済まされません。ISUはふざけているのですか?信頼性はISUの最優先目標ではありません。ISUが望んでいるのは、これ以上のスキャンダルを回避することです。スコアに異議を唱えることが出来なければ、抗議が容認されなければ、スキャンダルは発生しません。

2002年のスキャンダルを覚えていますか?ISU会長のオッタヴィオ・チンクアンタは、全てを隠すために、または特定の人々の被害を最小限に抑えるために最善を尽くしました: https://sportlandiamartina.wordpress.com/2021/01/23/jon-jackson-on-edge-7-giochi-di-potere/.

 

チンクアンタは、スキャンダルを隠蔽しようとする試みを諦めようとはしなかった。そして、彼の抵抗が無駄であることに気づいた後、彼の全ての注意は標的にし易いフランス人に集中し、これ以上疑念を持たれないために、取引相手のロシア側に隠蔽工作を提案しようとさえした。(ジョン・ジャクソン著「On Edge」224-225ページ)

 

ISU側の腐敗隠蔽の意図について執筆したのはジャクソンだけではありません。彼の著書、そして私がこれまでに引用した他の本を読んでみて下さい。非常に興味深い内容です。

 

フィギュアスケートの試合は多くの問題を抱えています。幾つかはジャッジのミスによるもので、その中の幾つかはジャッジのトレーニングの強化や、より優れたテクノロジーの導入によって防ぐことが出来ます。スケーターによる抗議を禁止することは公平ではなく、また競技会に信頼性を与えるシステムでもありません。

 

全て問題のアーカイブを作成するために、私は自分のコンピューターに保存した全てのファイルを確認しています。この投稿の最後に過去のスキャンダルについて書いた他の記事をリンクします。後日、公正なジャッジングに関する別のトピックの記事を投稿するつもりです。何か興味深いことを見つける度に、修正・加筆する可能性があります。もし記事にミスを見つけた人は知らせてもらえれば修正します(文法上のミスについても)。

フィギュアスケートは素晴らしいスポーツですが、結果が正しくないと茶番になります。 現在の状況をよりよく理解するために、私は過去から始めます。 過去に起こった問題は、(例え当時よりは少しマシだったとしても)現在も同様に存在することを忘れてはなりません。そして、私が取り上げているジャッジの中には、今でもジャッジ、つまりISUのオフィシャルもいます。

こちら投稿には英語本(All Minus One)の引用が含まれています。幾つかの興味深い英語の記事のリンクも貼りました。

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/10/11/di-giudici-giurie-e-giudizi-equi/ (Introduction)

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/10/12/di-giudici-giurie-e-giudizi-equi-2/ (1882-1936)

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/10/13/di-giudici-giurie-e-giudizi-equi-3/ (1947-1956)

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/10/14/di-giudici-giurie-e-giudizi-equi-4/ (1958-1966)

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/10/15/di-giudici-giurie-e-giudizi-equi-5/ (1968-1976)

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/10/16/di-giudici-giurie-e-giudizi-equi-6/ (1977-1988)

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/10/17/di-giudici-giurie-e-giudizi-equi-7/ (1989-1994)

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/10/18/di-giudici-giurie-e-giudizi-equi-8/ (1995-1998)

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/10/19/di-giudici-giurie-e-giudizi-equi-9/ (1999)

https://www.theglobeandmail.com/sports/suspension-slashed-for-skating-judge/article4160915/ (ビバリー・スミス著:スケートジャッジの資格停止が大幅に削減された。スビアトスラフ・バベンコの一件で、ISUは、悪質なジャッジを防ぐのではなく、スキャンダルを起こさないことが最も重要であることを間接的に認めた)

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/10/20/di-giudici-giurie-e-giudizi-equi-10/ (2002)

https://www.latimes.com/archives/la-xpm-2002-may-04-sp-olycol04-story.html (ISUは、マリー・レイン・ル・グーニュ、ディディエ・ゲヤゲの資格停止、オッタビオ・チンクアンタの態度に関して、ソルトレイク騒動を浄化することはほとんどなかった)

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/10/21/di-giudici-giurie-e-giudizi-equi-11/ (2002-2007)

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/10/22/di-giudici-giurie-e-giudizi-equi-12/ (2010)

 

エフゲニー・プルシェンコに関するジョー・インマンの発言について:

https://www.pressreader.com/usa/usa-today-us-edition/20100211/283515087060586 (プルシェンコの動画がロシアの怒りを引き起こす)

https://usatoday30.usatoday.com/sports/columnist/brennan/2010-02-10-evgeni-plushenko-videos_N.htm (クリスティン・ブレナン、スケーター、エフゲニー・プルシェンコの教育ビデオがロシアの怒りを引き起こす)

http://content.usatoday.com/communities/gameon/post/2010/02/olympic-judges-remarks-touch-off-figure-skating-controversy/ (リード・チャーナー、オリンピック・ジャッジの発言はフィギュアスケートの論争に火を点ける)

https://www.ocregister.com/2010/02/10/skating-judges-again-scrutinized/ (スコット・リード、スケートのジャッジ、再び精査される)

https://usatoday30.usatoday.com/sports/olympics/vancouver/figureskating/2010-02-11-weir-criticizes-judge_N.htm (オリンピアン、ジョニー・ウィアーが米スケート・ジャッジを批判する)

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/10/24/di-giudici-giurie-e-giudizi-equi-13/ (2014)

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/10/25/di-giudici-giurie-e-giudizi-equi-14/ (資格停止)

 

この一連の記事を書き上げた後、私は別の本を何冊か読み、幾つかの記事の中で著者によって提起された幾つかの問題について書きました。

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/10/26/christine-brennan-inside-edge/

 

私が特に注目したのはジョン・ジャクソンの著書「On Edge」でした:

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/12/03/intorno-a-on-edge-di-jon-jackson/

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/12/04/jon-jackson-on-edge-1/ (採点システムとジャッジの育成)

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/12/06/jon-jackson-on-edge-2/ (先入観とジャッジ同士の会話)

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/12/08/jon-jackson-on-edge-3/ (ナショナルバイアスと先入観)

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2020/12/14/jon-jackson-on-edge-4/(裏工作)

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2021/01/08/jon-jackson-on-edge-5-salt-lake-city/

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2021/01/14/jon-jackson-on-edge-6-il-campionato-del-mondo-2002/

https://sportlandiamartina.wordpress.com/2021/01/23/jon-jackson-on-edge-7-giochi-di-potere/

取り敢えずこの辺で止めておきます。次の記事は間もなく投稿されます。

 

☆筆者プロフィール☆
マルティーナ・フランマルティーノ
ミラノ出身。
書店経営者、雑誌記者/編集者、書評家、ノンフィクション作家
雑誌等で既に700本余りの記事を執筆

ブログ
書評:Librolandia
スポーツ評論:Sportlandia

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☆記事の最後のマルティーナさんがこれまでに執筆した膨大な量の記事と参考文献のリンクが貼られています(全く読めていないaWN5W61・・・)

テクニカルパネルの判定で結果が左右された試合というと、2019年埼玉世界選手権の女子フリーの試合が思い浮かびます。銅メダルはエフゲニア・メドヴェデワでしたが、フリーでは明らかにインサイドエッジで踏み切られた彼女の3ルッツに2.11もの加点が付いていました。テクニカルが正しく「e」と判定していれば紀平梨花ちゃんが銅メダルでした(2位と3位の点差は僅か0.31でしたから「!」でも順位は逆転していました)

2017年ヘルシンキ世界選手権女子フリーでは、アメリカのカレン・チェンのURと判定されるべきジャンプが見逃され、DGと判定されるべきジャンプがURだったとマッシミリアーノさんは批判していました。4位だったカレンと5位の三原舞依ちゃんとの点差は僅か1.41でした(そしてスケーティングが綺麗でプログラムの繋ぎも豊富な舞依ちゃんのPCSが何故いつもこんなに低いのか私には理解出来ません)。もし舞依ちゃんが4位なら、平昌オリンピックでの日本女子代表枠は2枠ではなく3枠になっていましたから、この試合におけるテクニカルパネルの判定はこの大会の結果だけではなく、五輪の枠も(そして、おそらく2枠だったために五輪に出場出来なかった選手のキャリアまでも)左右したことになります。

平昌オリンピックの男子の試合でも羽生君は2位以下と約11点差の文字通りの圧勝でしたから論外ですが、2位の宇野君から5位のネイサンまでの点差は9.55点、特に2位と3位は1.66点差、4位と5位は僅か0.42点差でしたから、テクニカルパネルの判定やGOEの匙加減によって順位がひっくり返る可能性はありました(当時、日本のマスコミは何故か11点も点差のある1位と2位の間でばかり「タラレバ」をしたがりましたが、「タラレバ」をするならそこじゃないだろう、とツッコんだものです)。

今では体操を始め多くの競技でAIが導入され、選手やコーチが判定に対して再審議を要求する権利が認められています。

一方で、ISUは今シーズン開始前のルール改正→撤回騒動、アワードや公式ソングなどと言った競技に全く関係ないところに無駄にこだわる姿勢、世界選手権開催に関する最近のコミュニケーションを読んでも迷走している印象を受けます。

人口比の感染者数が悲惨な状態だったオランダでスピードスケートの世界選手権がバブル方式で開催されましたので(マッシミリアーノさん情報によれば、スピードスケートがほぼ国技のようなオランダが全面的に資金を提供し、国に威信にかけて開催にこぎつけたようです)、ストックホルムの世界フィギュア選手権もきっと開催されるだろうと私は思っていました。
選手達のモチベーションを考えると、開催してあげて欲しいと思いますが、アスリートファースト、安全第一で感染対策を徹底し、詳細なガイドラインを作成して関係者や選手がルールを守らなかった場合には即バブルから追放する、ぐらいの厳格な姿勢で臨んでもらいたいです。

前日行われたロシアカップを見る限り、これほど大勢の感染者を出したにも拘わらず、ロシア・スケート界の意識が改善された様子は全くありませんでした。

大阪での世界国別対抗戦の開催可能性云々を読むに至っては「はあ???冗談でしょう???」と言うしかありません・・・

ISUの人達はロシアの団体戦を見ていなかったのでしょうか?

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu