ノートルダム・ドゥ・パリ

HANYU YUZURU公式YouTubeチャンネルにメンバーシップ限定の動画が投稿されました!

楽曲の使用許可を取るのに時間がかかっていましたので、何かなあ~?と思っていたら、まさかの「ノートルダム・ドゥ・パリ」でした。

嬉しいサプライズです!💕

ノートルダム・ドゥ・パリはクリケットクラブ移籍後初のシーズンにデヴィッド・ウィルソンと初めて組んで制作されたフリープログラムです。

当時はまだ成功率がそれほど高くなかった4サルコウを組み込み、難しいトランジションがふんだんに盛り込まれた非常にハードかつ高難度のプログラムで、当時、ファンの間では養成ギブスプロだの体力強化プロだのと言われていました。

初公開されたのはフィンランディア杯でした。

実を言うとこの前のシーズンまで私はチャレンジャーシリーズの存在を知りませんでしたので、チャレンジャーシリーズから彼の演技を見始めたのはこのシーズンが初めてでした(もっと言うと、羽生君を知った2010-2011年シーズンまで、私はグランプリシリーズもNHK杯しか知らず、6大会あって、成績上位者がファイナルに出場出来るという仕組みも知りませんでした)。

まずストロベリーパフェのような衣装に衝撃を受けました😂

2シーズン前のツィゴイネルワイゼンも甘いピンクの少女のような衣装でしたが、ダムパリではピンクに加えて大きな十字架まで付いてましたから😱

しかし、この後に続いていくロミジュリ2とかレクイエムとか「天と地と」とか、最近では「あの夏へ」やサザンカのクリスマスツリー衣装に比べたら、ダムパリのストロベリーパフェなんて大人しい方ですね(羽生君、イタリアのファンは黒/紫オリジン系衣装の再来を切望しています!😭🙏)

フィンランド杯ではプログラム終了と同時に息も絶え絶えに倒れ込んでしまいます。当時は体力が課題だと言われていました。その彼が今では東京ドームで12プログラム、3時間の単独公演を滑り切れるのですから驚異的です。

年齢と共に体力やジャンプの質は低下する、というフィギュアスケート界の常識は惑星ハニューの住人には当てはまらないようです。

グランプリ初戦、スケアメではショートの「パリの散歩道」で当時の世界最高得点を塗り替えた後の壮絶な自爆😱

シーズン開始早々、ジェットコースター展開でした。

次戦のNHK杯では後半スタミナ切れで3ルッツで転倒、スピンでも手を付きますが、4トゥループと後半の2本の3アクセルで積み上げた得点でこの大会初優勝を飾ります。

スピンのミスの後、「やっちゃった!」と満面の笑顔で手を差し伸べるところ、可愛過ぎますよね。私はスクワットイーグルから3ルッツに入るところの振付が大好きなのですが、終盤、足にきてるところでスクワットイーグル→3ルッツって、相当キツイですよね・・・
ウィルソンはとんでもない養成ギブスプロを作ったものです

原因不明の体調不良に襲われながら臨んだファイナルは惜しくも2位でしたが、フリーは素晴らしい演技でした。

そしてこの「ノートルダム・ドゥ・パリ」は全日本選手権で初優勝を飾ったプログラムでした。

この時の演技を見たイタリアのコーチ、ロレンツォ・マグリ氏は

「注意するんだ、マッシミリアーノ。見ていてご覧、羽生結弦はやがて国際スケート連盟に男子シングルのルール改正を余儀なくさせるだろう。何故ならこの少年には限界がない。一体どこまで到達出来るのか、僕には全く想像も出来ない」

と予言しています。彼の予言は当たり、「彼が一体どこまで到達出来るのか?」に関しては、未だに誰も予想することが出来ません。

しかし「ノートルダム・ドゥ・パリ」で最も鮮烈に記憶に残っているのはロンドン世界選手権の演技です。

インフルエンザ明けで左膝と右足首を負傷というまさに満身創痍の状態で臨んだ大会、そして翌シーズンのオリンピックの枠がかかった大事な大会でした。

Raiのマンマ達は途中から完全に結弦応援団、というか我が子を見守る母と化していました。
私も両手を握りしめ、祈るような気持ちで試合を見ていましたが、冒頭の4サルコウから次々にジャンプを着氷し、最後まで滑り切った彼の姿に涙が止まりませんでした。彼の不屈の精神、逆境で発揮される凄まじい底力を見せつけられた演技でした。

そして翌シーズンのエリックボンパール杯のエキシで披露されたバージョンも素晴らしかったです。

この大会、試合では4回転ジャンプを決めることが出来ませんでしたが、エキシでは「カップチーノを飲むが如く」簡単に美しい4トゥループを決めていました。あまりにも簡単に決めていたため、Rai Sportのマンマ達がこれが4回転とは気が付かないほどでした。照明が幻想的な雰囲気を作り上げていて(さすがフランス!💕)、まるで舞台芸術を見ているようでした。

そしてコロナ禍で世界選手権が中止になり、来季もどうなるのか分からない不安な時期にシニアデビュー以降のプログラム達の振付の一部を披露してくれた白壁配信でもノートルダム・ドゥ・パリを見せてくれました。

2020年5月6日と言えば、イタリアはコロナ禍が最悪のピークでした。食料品と日常必需品の購入および医療目的以外の外出は一切禁じられ、多くの人が仕事も殆ど出来ず、先行きの見えない暗闇の時期、彼から贈られたこの動画にどれほど励まされたか分かりません🥹

陸上で冒頭部分だけですが、このノートルダム・ドゥ・パリの振付と身のこなしは競技で使用していた時に比べて断然進化し、ブラッシュアップされていました。

この時、今の彼がノートルダム・ドゥ・パリ全編を氷上で演じたら、どれほど素晴らしい傑作が生まれのだろうか、と想像していましたが、まさかその3年後に、氷上で、完璧な形でこのプログラムを見ることが出来るとは思いませんでした。

ハリウッド映画のサウンドトラックやブロードウェイなどの海外ミュージカルの楽曲は特に使用許可を取るのが難しく、許可を下りるまでに時間がかかると聞いたことがあります。フランス発のミュージカル楽曲を使用したこのプログラムを投稿するために、羽生君とチームシリウスがどれほど尽力し、頑張ってくれたのか。感謝しかありません。

素晴らしい贈り物をありがとう!💕🙏

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu